USD/CADは木曜日に下落し、1.3612近辺で取引された。日中では約0.53%安。米ドル安と米国の弱い経済指標がカナダドルを支えた。
米ドルは、日本の為替市場での介入(当局が市場で通貨を売買し、相場の急変を抑える行為)の可能性を示す報道を受けて上値が重くなった。ロイターは日経の情報として、日本が円を買い米ドルを売った可能性があると伝えたが、当局の公式確認はない。
日本の円買い介入観測と米ドル安
USD/JPYは160を試した後に2%以上下落した。160は過去に日本側の対応が意識された水準とされる。米ドル指数(主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)DXYは98.16近辺で推移し、日中で約0.80%下げた。
米国の2026年1-3月期GDP(国内総生産)は年率換算で2%増。前期の0.5%から加速した一方、市場予想の2.3%は下回った。PCE物価指数(個人消費支出価格指数、米国の物価指標)は3月に前月比0.7%上昇し、2月の0.4%から伸びが拡大、2022年6月以来の高い伸びとなった。
コアPCE(変動の大きい食品・エネルギーを除いたPCE、基調的な物価をみる指標)は前月比0.3%上昇。2月の0.4%から鈍化し、予想と一致した。カナダでは2月GDPが前月比0.2%増となり、1月の0.1%増から加速し、市場予想通りだった。
カナダの1-3月期GDPは年率換算で約1.7%ペースが見込まれ、リスク要因として米国の関税、CUSMA(カナダ・米国・メキシコ協定。北米の貿易協定)の更新を巡る不透明感、中東情勢の緊張が挙げられた。米国とイランの緊張も続き、海上封鎖やホルムズ海峡(中東の重要な原油輸送の要所)周辺での動きが報じられ、原油価格は高止まりした。
USD/CAD見通しへの示唆
米ドルが急落していることを踏まえると、今後数週間のUSD/CADは下方向が優勢とみる。DXYが100を割り込み98.16まで低下したことは、テクニカル面(チャート上の節目や値動きの形から相場を判断する見方)でも重要で、2025年の多くで見られた104〜106のレンジから大きく下げた。背景には米国の成長鈍化に加え、主要国中銀による為替介入がある。
日本当局による円防衛の介入観測は、広範な米ドル安の引き金となっている。2022年には日銀が通貨防衛で600億ドル超を投じた例があり、強い手段を取る姿勢が意識される。このため、米ドルはカナダドルを含む主要通貨に対して上値が抑えられやすい。
経済指標面では、米国の1-3月期GDPが予想を下回ったことが、FRB(米連邦準備制度理事会)に慎重姿勢を促しやすい。総合インフレは高止まりしているが、FRBがより重視するコアPCEが鈍化しており、追加利上げ(政策金利の引き上げ)の可能性は低下する。一方、カナダ経済は底堅く、カナダ中銀には利下げ(政策金利の引き下げ)を急ぐ理由が相対的に小さい。
米国によるイランへの海上封鎖が続くことは、エネルギー価格上昇を通じてカナダドルを支える材料となる。WTI(米国産原油の代表的な指標価格)が1バレル95ドルを明確に上回る局面では、交易条件(輸出と輸入の価格関係。資源高は資源輸出国に有利)がカナダに有利に傾きやすい。過去にも、2022年のように原油高局面ではCADが強含む傾向が見られた。
デリバティブ(株や為替などを基に価格が決まる金融商品)取引では、USD/CADのプットオプション(期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利。下落に備える手段)の買いで下落を狙う戦略が考えられる。ボラティリティ(価格変動の大きさ)が上がっているため、オプションは損失を限定しやすい手段となる。満期は5月下旬〜6月を想定し、目標の権利行使価格(オプションで売買できる価格)は1.3500近辺が意識される。
リスク管理としては、ベア・プット・スプレッド(プットを買い、より低い権利行使価格のプットを売ってコストを抑える組み合わせ)も有効だ。USD/CADが適度に下落した場合に利益を狙える一方、最大利益は上限がある。最近のボラティリティ上昇を踏まえ、下目線を比較的堅実に表現する方法といえる。