カナダ経済は2月に前月比0.2%成長した。産業別GDP(業種ごとの付加価値の合計で測る国内総生産)ベースでは、第1四半期が年率換算(四半期の伸びを1年分に置き換えた数字)で1.7%増のペースとなっている。3月は横ばいが見込まれる。
製造業の持ち直しは、主として「テクニカル(統計上の反動や一時要因による見かけの回復)」と説明されている。製造業を除くと、全体の経済活動は横ばいだった。
基調的な成長は説得力に欠ける
人口が減少しており、潜在GDP(労働力や設備など供給力から見た、景気を過熱させずに達成できる成長の上限)を押し下げている。1人当たりGDP(国民1人当たりの生産・所得の目安)は、年率換算で+2.1%と、15四半期ぶりの大きな伸びとなる見通しだ。
エコノミストは、関税(輸入品にかける税)と地政学(国際情勢による経済への影響)によるリスクが続くと指摘した。商品価格(原油など資源の価格)の上昇と、不動産市場の弱さも圧力として挙げた。
最近のデータは、第1四半期の経済が持ちこたえ、年率換算で1.7%成長したことを裏付ける。ただし、この強さは見かけに過ぎない可能性がある。製造業の一時的な反発が、他の分野の停滞を覆い隠しているためだ。市場にとっては、表面上の数字ほど力強くなく、基調の脆さが引き続き重要な懸念となる。
今後の変動拡大に備える
先行きの不確実性を踏まえると、今後数週間の変動拡大(価格の上下の振れが大きくなること)で利益を狙う戦略を検討したい。XIU指数ETF(カナダ株指数に連動する上場投資信託)でストラドル(同じ権利行使価格・同じ満期のコール〔買う権利〕とプット〔売る権利〕を同時に買う)やストラングル(権利行使価格の異なるコールとプットを同時に買う)を購入すれば、方向に関係なく大きな値動きから利益を得られる可能性がある。外見上は良好な指標と、基調リスクの強さのねじれが、緩やかなトレンドよりも急な変動につながりやすい。
不動産部門の弱さも、構造的逆風の一端を示す。2026年3月の全国住宅販売が1.6%減となった。カナダ銀行(中央銀行)も4月会合で政策金利(中央銀行が短期金利を誘導するための基準)を4.75%で据え置き、景気の実力に慎重な姿勢を示した。この環境では、下振れへの備え(下落時の損失を抑えるための手当)として、大手カナダ銀行株や不動産ETFのプット・オプション(一定価格で売る権利)の活用も選択肢となる。
地政学リスクも織り込む必要がある。とりわけ、今夏に予定されるCUSMA(米国・メキシコ・カナダ協定=北米の貿易協定)見直しを巡る不透明感が強まっている。これは、第1四半期GDPを一時的に押し上げた製造業や自動車関連に直接の重しとなり得る。WTI原油(米国の指標となる原油)がおおむね1バレル=85ドル近辺で推移するなど資源価格が高止まりすれば、企業コスト(仕入れ・輸送などの費用)面でも見通しを難しくする。
こうした脆弱な経済状況は、カナダドルが米ドルに対して下押し圧力を受ける可能性を示す。統計上の回復と、米国側の比較的安定した成長との違いが、短期的にカナダドル(ルーニー)の重荷となり得る。このため、USD/CAD(米ドル/カナダドル)のコール・オプション(一定価格で買う権利)を購入し、下落に備える、または下落から利益を狙う余地がある。