カナダのGDP(国内総生産)は2月に前月比0.2%増加した。財(モノ)を作る産業とサービス産業の両方が押し上げに寄与し、これまで自動車産業で起きていた供給面の混乱(生産停止や部品不足など)が和らいだことが背景にある。
3月GDPの先行推計はほぼ横ばいだった。初期の指標からは、1〜3月期(第1四半期)の期末にかけても成長が続いた可能性があるが、推計値は後日改定されることがある。
第1四半期のGDPは、年率換算で1.3%成長という予測をやや上回るペースで推移している。4月の金融政策報告で示されたカナダ銀行(中央銀行)の1.5%見通しも、わずかに上回っている。
人口増加の鈍化により、1人当たり(人口で割った)指標は改善が続く見込みだ。ここでの見立ては、カナダ銀行が2026年まで政策金利(景気や物価に影響する中銀の基準金利)を据え置く、というものだ。
カナダ銀行は、エネルギー(ガソリンなど)を除いた基調インフレ(物価の一時的な変動をならした指標)を監視している。また、中東情勢を受けたエネルギー価格の上昇が、より広い範囲の成長(消費や企業投資など)に与える影響も注視している。
2月のGDPが0.2%増となり、3月も安定した見通しであることは、カナダ経済の底堅さを示す。緩やかな拡大が続くことで、カナダ銀行は当面動かず(利下げ・利上げを急がず)との見方が補強され、近い将来の利下げの可能性は低下している。
3月のCPI(消費者物価指数)では、コアインフレ(食品・エネルギーなど変動が大きい品目を除いた物価)が2.7%と高止まりし、中銀の目標である2%を大きく上回った。この粘着性(下がりにくさ)は、中銀が慎重姿勢を取る根拠になる。近くの利下げを見込むデリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引はリスクが高まりつつある。
雇用統計も強く、カナダは3月に雇用者数が3万5,000人増え、失業率は5.5%にとどまった。これも金融緩和(利下げ)の必要性を弱める材料だ。市場では以前、今年前半の利下げを織り込んでいたが、その見方はほぼ後退した。
中央銀行が夏にかけて金利を据え置くと見込まれるなら、CORRA先物(カナダの翌日物金利CORRAを基にした金利先物)のような金利デリバティブのインプライド・ボラティリティ(市場が見込む価格変動の大きさ)は低下しやすい。こうした局面では、相場の方向性ではなく安定と時間価値の減少で収益を狙う戦略、例えばストラドル売り(同じ権利行使価格のコールとプットを同時に売る手法)が有利になり得る。大きな一方向の変動に賭けるより、プレミアム(オプションの受け取り代金)を得る方が妙味が出る可能性がある。