ECB(欧州中央銀行)は4月の会合後、政策金利を据え置いた。主要リファイナンス金利(銀行に資金を供給する際の中心金利)は2.15%、限界貸出ファシリティ(中央銀行が銀行に翌日物で資金を貸す上限の金利)は2.4%、預金ファシリティ(金利。銀行が中央銀行に預ける資金に付く金利)は2%に維持した。
ラガルド総裁は、足元の混乱が起きる前は景気に勢いがあり、国内需要が引き続き成長をけん引していたと述べた。一方で先行きは極めて不確実で、紛争が活動を押し下げ、信頼感が弱まり、サプライチェーン(供給網)に圧力がかかっていると説明した。
Energy Costs And Domestic Demand
総裁は、エネルギー価格の高止まりが家計の実質所得を圧迫し、企業・家計の投資意欲を鈍らせる可能性が高いと述べた。労働需要(求人や採用の強さ)はさらに冷え込んでいる。家計は堅調な財務状態にあり、出発点が良いことが一定の緩衝材になるとも説明した。
ECBは、インフレの上振れリスクと成長の下振れリスクが強まったとし、入ってくるデータ(経済指標)を踏まえて会合ごとに政策を判断するとした。金利の道筋を事前に約束しない方針も示した。さらに、APPとPEPPの保有資産は減少していると説明した。APP(資産購入プログラム)は国債などを買い入れて市場に資金を供給する量的緩和策、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)はコロナ禍向けの買い入れ枠。ユーロシステム(ECBとユーロ圏各国中銀)が償還元本の再投資(償還で戻った資金で同種の資産を買い直すこと)を行っていないためとしている。
総裁は、基調インフレ(エネルギーなど変動の大きい要因に左右されにくい物価の動き)を示す指標は大きく変わっていないと述べた。長期のインフレ期待は2%前後にある一方、エネルギー価格により目先のインフレ率は2%を大きく上回り続けるとした。ECBは6月に改定見通し(シナリオ)を公表する。4月の決定は全会一致だった。
発表後、EUR/USD(ユーロ/米ドル)は1.1695と0.17%上昇した。4月のサービスPMI(購買担当者景気指数。50を上回ると拡大、下回ると縮小)は47.4と報告された。市場では年末までに約65bp(ベーシスポイント=0.01%)の利上げが織り込まれていた。