米ドルは総じて横ばい圏で推移している。米国株が底堅く、企業業績も強いことから「リスク回避(投資家が安全資産を選びやすくなる状況)」が後退している一方、中東の緊張は高まり、ホルムズ海峡は閉鎖されたままだ。こうした環境は、米国の「短期金利(満期が短い国債の利回り)」の上昇と、ドル需要の強まりにつながっている。
原油は1バレル=110ドルを再び上回り、夏場にかけて景気環境が厳しくなるリスクが高まっている。欧州とアジアは影響を受けやすく、状況が長引けばユーロやアジア通貨には下押し圧力がかかりやすい。
Fomc Message And Policy Stance
FOMC(米連邦公開市場委員会:米国の金融政策を決める会合)を前に、市場が想定するメッセージは「不確実性があるため、現状の金融政策(政策金利などの運営方針)は適切な水準にある」というものだ。先行きの「ガイダンス(将来の政策運営についての示唆)」は限定的となり、リスクを見極める時間がある点が重視されそうだ。
パウエルFRB議長は、3月時点よりも「タカ派(インフレ抑制のため利上げに前向きな姿勢)」寄りの発言になる見通しだ。背景には、景気と株式市場の底堅さに加え、インフレリスクの兆しがある。短期金利が上昇すれば、EUR/USD(ユーロ/米ドル)は下落リスクが高まり、USD/JPY(米ドル/円)は上昇リスクが高まる可能性がある。
Trading Ideas In Fx And Rates
トレーダー視点では、米ドルは円に対して強くなりやすい。日本はエネルギー高で貿易赤字が拡大しており、円にとって重しだ。USD/JPYでは、コールオプション(あらかじめ決めた水準で買う権利)を買うことで上昇を狙う手段がある。相場が想定通りに動かない場合でも、損失を支払ったオプション料に限定しやすい。
ユーロも弱含みやすい。欧州はエネルギー高の打撃が大きい。ドイツの製造業PMI(購買担当者景気指数:50を下回ると景気の悪化を示す)は48.5へ低下し、企業活動の弱さを示している。EUR/USDでは、プットオプション(あらかじめ決めた水準で売る権利)を買い、下落を狙う戦略が考えられる。
FRBがよりタカ派に傾けば、米国の短期金利は上がりやすい。これを取りに行く方法として、短期金利先物(将来の短期金利水準に連動する先物)を売る取引がある。例としてSOFR(担保付き翌日物資金調達金利:米国の代表的な短期金利指標)連動の先物があり、「イールドカーブ(国債の期間別利回りの並び)」の短期部分の利回りが想定通り上がれば利益になりやすい。