米国の住宅着工件数(住宅建設の開始件数)は3月、前月比で年率換算150.2万戸に増加した。市場予想の140.0万戸を上回った。
結果は予想を10.2万戸上回り、3月の建設活動が市場の見立てより強いことを示す。
Implications For Fed Policy
予想を上回る3月の住宅指標は、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を冷ますために進めてきた金融引き締め(利上げ)にもかかわらず、米景気の勢いが残っている可能性を示す。これにより、近い将来の利下げ(政策金利の引き下げ)の可能性は低下するとみる。
焦点は次回のFOMC(FRBが金融政策を決める会合)に移り、短期金利の先物・オプションなどの金利デリバティブ(価格が金利に連動する金融商品)は、今後のインフレ指標に一段と敏感になりやすい。
このため、FRBはよりタカ派(インフレ抑制を優先し、利下げに慎重な姿勢)になり、短期金利は高止まりしやすい。担保付き翌日物資金調達金利(SOFR)先物(米国の短期金利見通しを反映する先物)に織り込まれた7月利下げ確率は、今週60%超から40%未満へ低下した。金利が「高水準で長期化」するシナリオに備えるなら、期近の金利先物を売る戦略が選択肢になる。
株式市場では一般に、金利高はグロース株(将来の成長期待が株価に織り込まれやすい銘柄)や株価指数に重荷になりやすい。将来利益の現在価値(割引現在価値)が下がり、企業の借入コストも増えるためだ。今後数週間の下落に備え、S&P500のプロテクティブ・プット(保有株の下落を補うためのプット購入による保険)でヘッジする価値が高まるとみる。
一方、住宅指標の強さは住宅建設会社(ホームビルダー)や建材供給企業には追い風となる。ホームビルダーETFのコールオプション(一定価格で買う権利)や、銅・木材など工業系商品(景気や建設需要に左右されやすい商品)への強気ポジションが有利になり得る。例として、木材先物は今月すでに4%上昇しており、今回の指標が上昇の勢いを後押しする可能性がある。
また、相対的に高い金利は海外資金を呼び込みやすく、米ドルを支えやすい。金融緩和寄り(利下げに前向き)な中央銀行を抱える通貨に対して、米ドルを買い持ち(ロング)する機会とみる。ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの強さを示す指数)は足元で106を上抜け、年初来高値を更新しており、底堅さを示唆している。