バイエルン州の消費者物価指数(CPI:一般の消費者が購入する商品・サービスの価格の平均的な動きを示す指数)は4月に前月比0.5%上昇した。前月の1.2%から伸びが鈍化した。
4月の数値は前回から0.7ポイントの減速を示す。公表内容は、4月の前月比の変化を前月の前月比と比べたものだ。
ドイツおよびユーロ圏のインフレへの意味合い
このバイエルン州のインフレ率の急減速は、今後発表されるドイツやユーロ圏全体のインフレ指標に先行する重要な材料とみる。これにより、欧州中央銀行(ECB:ユーロ圏の金融政策を担う中央銀行)が6月会合で利下げ(政策金利を引き下げること)に踏み切る可能性が高まった。市場は年後半にかけて、ECBが景気に配慮して金融を緩める方向(ハト派:利下げなど緩和を重視する姿勢)を織り込みやすくなる。
このためユーロは弱気の見方を維持する。特に米ドルに対して下落しやすい。3月の米国のコアPCEインフレ率(個人消費支出物価指数のうち変動の大きい食品・エネルギーを除いた物価指標)が2.8%と高止まりしたことで、ECBが利下げに向かう一方、米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)が金利を据え置く構図が強まっている。結果として金融政策の方向性の違いが拡大しており、ユーロ/米ドル(EUR/USD:ユーロと米ドルの為替レート)が下がる局面で利益を狙う戦略を検討したい。
インフレ鈍化のシグナルは欧州国債に追い風となる。ドイツ10年国債(ブント:ドイツ政府が発行する国債の代表的な指標)の利回り(債券の収益率)が低下し、債券価格は上昇すると見込む。2023年後半にも、弱いインフレ指標をきっかけにブント先物(国債を将来の価格で売買する取引)が大きく上昇する同様の動きがあった。
株式では、利下げ期待はドイツ株価指数DAXにとってプラス材料だ。資金調達コスト(企業が借り入れなどで支払う金利負担)が下がることで利益を押し上げやすく、株式の割安感(バリュエーション:利益などに対する株価水準)も改善する。金利の影響を受けやすいセクターとして、テクノロジーや不動産が上昇を主導しやすい。