API(米国石油協会:業界団体)が公表する米国の週次原油在庫は、前週の「440万バレル減」から「179万バレル減」へと減少幅が縮小した。
最新のデータは4月24日分。前回より在庫の取り崩し(在庫減)が小さい。
APIの在庫減少が急減速
最新のAPIデータでは、原油在庫の週次の取り崩し(在庫減)が -440万バレルから -179万バレルへ大きく鈍化した。これは需給(供給と需要)の逼迫が、ここ数週間ほど強くないことを示す。デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)を取引する市場参加者にとって、原油価格の上昇の勢いが弱まり得るサインになる。
今週公表されるEIA(米エネルギー情報局:政府機関)の在庫統計で、同じ傾向が確認できるかが焦点だ。米国の原油生産は日量約1,310万バレル近辺で高水準を維持しており、需要が弱まれば在庫が積み上がる(在庫増)方向に傾きやすい。EIAでも同様の結果が出れば、WTI先物(米国産原油の指標となる先物)に下押し圧力がかかり得る。
需要面では、ガソリン(製品ガソリン)在庫が予想外に増える動きが見られ、夏のドライブシーズン(米国で夏にガソリン需要が増えやすい時期)に向けた消費が想定ほど強くない可能性を示す。2025年の大半で見られた堅調な需要とは異なる変化であり、原油価格に弱気(下落を見込む)な見方を支える。
対応としては、原油価格が横ばい、または下落する局面で利益を狙う戦略が選択肢になる。例えば、6月または7月限のWTI先物に対して、アウト・オブ・ザ・マネー(権利行使価格が現行価格から離れた水準で、現時点では行使しても得になりにくい)コールのクレジット・スプレッド(コールを売り、より上の権利行使価格のコールを買うことで、受取プレミアムを得つつ損失を限定するオプション戦略)を組む方法がある。この戦略は、原油価格が一定水準を上回らなければ利益になりやすい。
地政学リスクの上乗せと軟化する需給
この需給データの変化は重要だ。原油価格は、2024年に見られた中東情勢の緊張のような地政学リスク・プレミアム(紛争や制裁などの不確実性を織り込み、価格が上振れする要因)によって高止まりしやすい。需給が弱まる局面では、高値を正当化しにくくなる。国際情勢が落ち着けば、より大きな売り(価格下落)が起きる可能性がある。
また、世界の製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の購買担当者への調査から景気の強弱を示す指標)は最近まちまちで、特に欧州で景気減速への懸念が出ている。景気が減速すれば将来のエネルギー消費見通しを下押しし、需要面の圧力が弱まるとの見方につながる。こうしたマクロ環境(景気や金利など市場全体に影響する要因)の逆風は、原油市場が無視しにくくなっている。