日銀は政策金利を0.75%に据え置いた。採決は6対3で、賛否が拮抗したことで、6月または夏場の利上げ観測が強まった。
3月会合と1月会合では、利上げに賛成したのは高田創委員のみだった。今回の採決結果を受け、市場では夏場の利上げ確率を約54%と織り込んだ。
成長率・物価見通しを修正
新たな展望レポートでは、GDP(国内総生産、国内で生み出された付加価値の合計)の成長率見通しを、2026年度に0.5ポイント、2027年度に0.1ポイント引き上げた。また、生鮮食品とエネルギーを除くインフレ率(物価上昇率)を、2026年度に0.4ポイント、2027年度に0.5ポイントそれぞれ上方修正した。
レポートは、エネルギー関連のコスト上昇圧力が、景気よりも物価に強く影響していることを示した。決定後、JGB(日本国債)の利回りは小幅に上昇し、円は上昇した。
日銀が金利を据え置いたものの採決が6対3と拮抗したことは、今夏の利上げの可能性を示すサインといえる。市場はすでに反応し、円高とJGB利回りの上昇が進んだ。金融引き締めに前向きな姿勢(タカ派、利上げを重視する姿勢)がにじんだことで、今後数週間でこの流れが強まる可能性がある。
日銀のタカ派化に備える
円はドルに対して上昇しており、USD/JPY(ドル円、ドルと円の交換レート)は160円水準を試している。日本の最新のコアインフレ(生鮮食品を除く消費者物価の上昇率)は2.9%と強く、日銀の目標を上回る。これにより、ドル円には下押し圧力(円高方向)が続く可能性がある。円高で利益を狙う手段として、JPYコールオプション(円をあらかじめ決めた価格で買う権利)を買うなど、デリバティブ(株式や金利などの値動きに連動する金融商品)を用いた戦略が考えられる。
10年物JGB利回りは、このニュースを受けてすでに1.10%を上回り、10年以上ぶりの水準となった。市場が利上げを本格的に織り込めば、利回りの上昇が続き、JGB価格は下落しやすい。金利先物(将来の金利水準を見込んで売買する契約)を使えば、債券価格の下落局面に備えたポジションを取りやすい。
これは、2025年を通じて広がっていたムードからの大きな変化だ。当時は日銀が金融引き締めに踏み切るか不透明で、円安が続きやすかった。今回は採決で意見の割れが明確になり、政策変更が近いとみられる根拠が強まった。
利上げの時期はなお不確実で、市場は夏場の利上げ確率を54%と見ている。この不確実性はボラティリティ(価格変動の大きさ)を高めやすい。オプション(将来、決めた価格で売買できる権利)戦略は、リスクを抑えつつ見通しを反映しやすい。為替市場ではインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される将来の変動見通し)が上がっており、ドル円のプット(所定の価格で売る権利)を買う戦略が有効となる場面もある。