原油高と地政学リスク(国際情勢の不確実性)は米ドルの下支えになっているものの、支援は限定的にとどまっている。米国株が堅調で、月末の資金フロー(運用上の需給による売買)がドルの重しとなった。
米国株は底堅い一方、世界の株式市場の下落は限定的だ。足元ではEUR/USDなど主要ドルペアは、原油価格や金利差(国ごとの政策金利・市場金利の差)よりも、世界株の動きに左右されやすい。
4月は米国株が相対的に強かったため、月末フローがドルを押し下げる見通しだ。仮に数日内にこうしたフローの影響が薄れ、湾岸地域を巡る交渉で具体的な進展が見られなければ、ドル高圧力は強まり得る。
値動きが大きい資源国通貨(商品市況に連動しやすく変動が大きい通貨)である豪ドルやカナダドルが選好されている。市場の関心は消費者信頼感(家計の景況感を示す指標)に向かう一方、FOMC(米連邦公開市場委員会:米金融政策を決める会合)決定や、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタの決算を控え、主要ドルペアの変動は当面抑えられる可能性がある。
原油高と世界的な不確実性は本来ドルに追い風となるはずだが、現時点では下支えは限られている。背景には、S&P500が月央の下落から持ち直して上昇するなど、米国株の強さが際立つことがある。市場は現在、1バレル85ドル超で高止まりする原油よりも、世界株への感応度が高い。
ドルの弱さのもう一つの要因は月末フローだ。4月は米国株が他地域を上回ったため、運用担当者は資産配分を目標比率に戻すリバランス(構成比の調整)の一環として、ドルを売って調整する可能性が高い。これは需給面の圧力で、ドルのファンダメンタルズ(景気・金利など基礎的要因)の強さを覆い隠している面がある。
今後数日で月末フローの影響が剥落すれば、ドル高の勢いは増すとみる。地政学交渉で目に見える進展がない限り、ドルは上方向を試しやすい。