米エネルギー長官のクリス・ライト氏は火曜日の欧州時間、「ドナルド・トランプ大統領は、イランとの適切な合意を得ることに注力している」と述べた。
ライト氏は、イランの貯蔵能力(産出した原油をタンクなどにためておける量)は大きくないとも指摘した。さらに、米国は自国のエネルギー製品について輸出禁止を検討していないとした。
米国とイランの合意が実現した場合の市場への影響
同氏はまた、米国が火曜日に欧州で歴史的な合意を発表すると付け加えた。発言はサガル・ドゥア氏が報じた。
米国とイランの新たな合意の可能性は、不確実性を大きくし、原油価格にとって「合意するかしないか」で結果が大きく分かれる(バイナリー)材料となる。合意が成立すれば、イランの公式な供給が日量150万バレル超、市場に短期間で戻る可能性がある。現状の需給はきわどく均衡しているため、今後数週間は価格変動が大きくなりやすい。
合意に至れば、原油価格は急落しやすい。イランは貯蔵能力が限られるため、原油を早く売らざるを得ず、供給過剰(供給が需要を上回る状態)になりやすい。これにより、北海ブレント原油は2025年に見られた安値圏へ戻る可能性がある。デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引では、プット・オプション(あらかじめ決めた価格で売る権利)を買う、またはショート(売り持ち)を作ることで、下落リスクの備え(ヘッジ)を検討する余地がある。
一方、交渉が停滞または決裂すれば、市場の関心は足元の供給逼迫(供給がタイトな状態)に戻る。米エネルギー情報局(EIA:米政府のエネルギー統計機関)の最新データでは、世界在庫は過去5年平均を下回っており、新規供給の見込みが消えれば上昇を支えやすい。この場合、コール・オプション(あらかじめ決めた価格で買う権利)を保有し、外交面の失敗に備えるという考え方が成り立つ。
トレーダーは変動局面にどう向き合うか
市場はすでに変動を織り込みつつあり、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX:原油価格の予想変動率を示す指数)は今月だけで15%超上昇した。こうした局面は、ロング・ストラドル(同じ期限・同じ権利行使価格のコールとプットを同時に買い、上下どちらかに大きく動けば利益を狙う手法)など、変動を利用する戦略が機能しやすい。ポイントは、現在のレンジ(一定の値幅)からはっきり抜ける動きに備えることだ。
また、米国が自国のエネルギー輸出を禁止しない点も考慮が必要だ。これは価格上昇の上限を抑えやすい要因となる。米国の生産は昨年の過去最高水準である日量1,330万バレル近辺で堅調に推移しており、この供給が価格急騰を和らげる可能性がある。つまり、上昇局面はあり得るものの、合意発表時の下落余地に比べると上値は限られやすい。