インドの鉱工業生産(生産活動の指標)は3月に前年同月比4.1%増となった。市場予想(4.2%)を下回った。
実績と予想の差は0.1%ポイントで、伸びは見込みよりわずかに弱い。
予想下振れで景気の勢い鈍化が示唆
3月の鉱工業生産は4.1%増と、想定していた4.2%を小幅に下回った。新年度入りに向け、景気の勢いがやや鈍った可能性がある。短期的には慎重姿勢を強め、下振れリスクに備えたい。
この結果は、インドの主要株価指数であるNifty 50(インド株の代表的な株価指数)に短期的な重しとなり得る。下落に備える「プロテクティブ・プット(保有株の値下がりによる損失を限定するためにプットオプション=売る権利を買う戦略)」が選択肢になる。2025年に減速懸念が浮上した局面でも、当初は市場が過剰反応し、その後に下げ止まる展開が見られた。
海外投資家(外国人投資家)も慎重姿勢を示している。たとえば2024年1月には、世界的な不透明感を背景に株式から差し引き30億ドル(ネット)を引き揚げた(ネット=買いと売りの差し引き)。
景気減速はインド・ルピー(通貨)の下押し要因になり得る。そこで、USD/INR先物(米ドル/インド・ルピーの為替を将来の価格で売買する取引)を買い持ち(ロング=上昇を見込んで買う)する余地がある。インド準備銀行(RBI:中央銀行)が成長支援寄りの姿勢を示せば、一般に通貨にはマイナスになりやすい。国内株中心のポジションに対し、ルピー安を見込む取引はヘッジ(損失を抑えるための保険)として合理的だ。
予想変動率(市場が見込む価格変動の大きさ)は、India VIX(インド株の「恐怖指数」。オプション価格から算出される変動率指標)でみると12前後と低水準にとどまっているが、今回の材料で上昇する可能性がある。4月の製造業PMI(購買担当者景気指数。企業調査にもとづく景況感指標)を注視し、弱さが一時的か、流れが変わったのかを見極めたい。PMIが低下すれば、5月はより守りの運用(ディフェンシブ=景気変動の影響を受けにくい方向)を支持する材料となる。