オーストリアのユニクレディト銀行がまとめた製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の購買担当者への調査を基に、景気の良し悪しを示す指数)は4月に51.2となり、前回の52.4から低下した。
PMIは50を上回っており、製造業の活動が引き続き拡大していることを示す。
ユーロ圏の製造業の勢いが鈍化
オーストリアの製造業PMIが51.2へ低下したことは、成長は続いているものの、勢いが明確に弱まったことを示す。ドイツの製造業PMIも51.9へ低下しており、ユーロ圏の産業の中心で減速が広がっている可能性がある。欧州景気の冷え込みに備えた対応が求められる。
これは2025年の大半に見られた製造業の力強い回復とは異なる動きだ。ATX指数(オーストリアの代表的な株価指数)では、構成比の大きい工業株が下押し圧力を受けやすい。想定される戦略としては、プット・オプション(期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利)で下落に備える方法がある。より慎重な手段として、主要な欧州の工業系ETF(上場投資信託)のコール・スプレッド売り(コール・オプション=買う権利を、異なる行使価格で売買して損益を限定する取引)も考えられる。
ユーロ圏のインフレ率が2.5%前後で推移する中、景気減速はECB(欧州中央銀行)の政策判断を難しくする。今回のデータは、追加利上げ(政策金利を引き上げること)の根拠を弱め、次の一手が利下げ(政策金利の引き下げ)となる可能性を高める。ただし、直ちに実施されるとは限らない。こうした見方から、ユーロのショート(売り持ち)を積み上げる余地があり、特に米ドルに対しては弱含みを想定しやすい。
債券市場では、残っている金融引き締め(利上げなどで景気を冷ます政策)期待が後退しやすい。ドイツ国債(ブント)先物の買いは、域内の不確実性が高まる局面での「安全資産」として機能しやすい。金利が今回の局面でピークに達したとの見方に沿う取引でもある。
製造業の減速は、数年前のエネルギー価格ショック時に見られた産業の弱さを想起させる。当時は市場の変動性(価格の振れやすさ)が大きく上昇した。今後数週間の市場の揺れに備え、VSTOXX指数(ユーロ圏の株式市場の予想変動性を示す指数)でコール・オプション(期日までにあらかじめ決めた価格で買う権利)を買うことは、変動性上昇に対するヘッジ(リスクの相殺)と収益機会の両面を狙う手段となる。