月曜日は値動きの荒い取引となり、米国とイランの衝突が終結するとの期待が後退したことで、市場心理は悪化した。火曜日後半には、米国で週次のADP雇用者数(民間部門の雇用増減を示す統計)と、コンファレンス・ボード(米民間調査機関)が発表する4月の消費者信頼感指数(家計の景況感を測る指標)が予定されている。
イランは月曜日、戦闘終結とホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送の要所)の再開に向けた提案を送ったと報じられた。CNNは、ドナルド・トランプ大統領が受け入れる可能性は低いと伝え、WTI(米国産の代表的な原油価格指標)は約2%上昇して97ドル手前へ。米ドル指数(主要通貨に対するドルの強さを示す指数)は98.50を上回って推移し、米株価指数先物はまちまちとなっている。
中央銀行のシグナルと市場の反応
日銀は4月会合で金融政策を据え置いた。2026年度のコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)の見通し(中央値)を1.9%から2.8%へ引き上げ、植田和男総裁は実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた金利)が非常に低いとしたうえで、条件が整えば政策金利(中央銀行が景気と物価を調整するために動かす基準の金利)を引き上げていく姿勢を示した。
USD/JPYは日銀決定後に159.00を下回ったが、その後持ち直して159.50近辺で方向感に乏しい。EUR/USDは米国時間に月曜の下げの一部を取り戻したものの、足元は1.1700近辺で軟調。
AUD/USDは月曜に0.5%超上昇した反動で0.7170近辺へ小幅安。豪州では水曜日のアジア時間にCPI(消費者物価指数)の発表が控える。GBP/USDは1.3500付近へ下落。英下院では特権委員会(議会の権限や規律に関する調査を担う委員会)の調査に関する採決が予定される。金(ゴールド)は4,650ドルを割り込み、3週間ぶりの安値となった。
在庫の逼迫と原油の上乗せ要因
米エネルギー情報局(EIA:米政府機関)の最近のデータでは、世界の原油在庫が過去5年平均を下回って推移しており、供給不安が生じた際の価格反応が大きくなりやすい。2020年代初頭の地政学リスク局面でも価格が急変した経緯があり、100ドル超えも視野に入る。今回の緊張再燃により、原油1バレルごとに上乗せされる「リスク上乗せ分(地政学など不確実性による上昇分)」が拡大している。
為替市場では、日銀が物価見通しを引き上げ、追加利上げに言及したことで、政策の大きな転換を示唆している。通常は円高要因だが、現状は「安全資産として買われる通貨」としての米ドルが優勢で、USD/JPYは159.50近辺にとどまる。相反する力が働いているため、方向を決め打ちするより、オプション(将来の売買価格をあらかじめ決めて、買う権利・売る権利を取引する商品)を使って値動きの大きさ(ボラティリティ)を狙う方が慎重といえる。
金が4,650ドルを下回ったのは緊張の強さからすると目立つ動きだが、米ドル高の影響が大きいことを示す。価格が下がった局面は、金のコールオプション(将来、決めた価格で買う権利)を使って安い水準で上昇に備える狙いも考えられる。過去には2022年のような深刻な危機で、ドルと金が同時に買われる場面があり、衝突が拡大すれば金がドル高を打ち消して上昇する余地もある。
株式市場全体では、地政学リスクと原油高の組み合わせが重荷となる。値動きの不安定さは強まりやすく、VIX指数(株式市場の不安心理を示す指標)が20を上回る高水準で推移しやすい。主要株価指数に対するプロテクティブ・プット(保険としてのプットオプション=将来、決めた価格で売る権利)の購入は、今後数週間の下落リスクに備えるヘッジ(損失を抑えるための対策)となる。