アジア通貨は総じて上昇し、マレーシア・リンギ(MYR)、タイ・バーツ(THB)、台湾ドル(TWD)がけん引した。きっかけは、イランがホルムズ海峡の再開に向けた提案を示したことだ。提案には核協議の延期などの条件が含まれ、米国が受け入れるかは不透明である。
株式は過去最高値圏にある一方、原油価格は高止まりしている。ホルムズ海峡に関連するエネルギー価格の「波及(企業コストや物価に移ること)」は依然として限定的だが、原油高が長期化すれば需要の重荷になり得る。
原油市場のリスクと通貨の影響の受けやすさ
米国とイランの対立が長引けば、原油の供給が締まり、原油価格はさらに上昇し得る。これはアジア通貨の回復を抑える可能性がある。特に「ハイベータ(相場全体の変動に対して値動きが大きい)」で、原油価格に敏感な通貨が影響を受けやすい。
地政学情勢の変化と原油価格の動きにより、通貨の値動きはばらつく。差は、原油への依存度、経常収支(貿易や投資収益などの収支)、海外資金フロー(海外投資家の資金の出入り)、中銀の政策対応でも生じる。
緊張が解けず原油高が続く局面では、フィリピン・ペソ(PHP)とタイ・バーツ(THB)は上値が重くなりやすい。シンガポール・ドル(SGD)とマレーシア・リンギ(MYR)は相対的に底堅いと見込まれる。
直近では、アジア通貨の多くが持ち直し、MYRとTHBが上昇した。こうした動きはイランのホルムズ海峡再開提案と結び付くが、米国の同意は見通しにくい。先行き不透明感が強く、今後数週間は急変に備える必要がある。