英国のBRC(英国小売協会)店舗価格指数は4月、前年同月比で1%上昇した。市場予想は1.5%で、結果は予想を0.5ポイント下回った。
4月の英国の店舗価格データは、物価上昇の勢いが想定以上に早く弱まっていることを示した。予想の1.5%に対し1%にとどまり、生活者の物価負担が大きく和らいでいる可能性がある。これにより、イングランド銀行(BoE)が利下げに傾く材料となり、金融政策が「ハト派(景気下支えを重視し、利下げに前向き)」へ進む可能性が高まった。
金利市場への政策面の含意
金利先物(将来の金利水準を取引する商品)では、今夏のBoE利下げ確率が上がる前提で、市場の織り込みが進みやすい。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ=翌日物金利に連動するスワップで、将来の政策金利見通しを映しやすい)でも変化がみられ、8月会合までの利下げ確率が50%超を示唆している。SONIA(英ポンドの無担保翌日物金利指標)先物のフォワードカーブ(将来の短期金利見通しを示す曲線)は、低金利が長く続く見方から、平たん化(長短の金利差が縮むこと)が進みやすい。
この見通しは英ポンドに下押し圧力となり得る。GBP/USDのプットオプション(一定価格で売る権利。下落に備える手段)の活用が選択肢になる。英国の金利見通しが低下すると、金利差の魅力が薄れ、通貨を保有する利点が減るためだ。
一方、借入コストの低下は英国株の追い風になり得る。FTSE100指数のコールオプション(一定価格で買う権利。上昇を狙う手段)は相対的に魅力が増す。一般に金利低下は企業の資金調達負担を減らし、利益見通しや株価評価(バリュエーション)を押し上げやすい。英国の株式ボラティリティ指数であるVFTSE(将来の値動きの大きさの予想を示す指数)が足元で低水準にあり、上昇に備えるコスト(オプションのプレミアム)が比較的抑えられている。
ただし、今回の統計は重要ではあるものの単発の材料にすぎない。今後、公的なCPI(消費者物価指数)や、より重要な賃金上昇率データの発表を待つ必要がある。賃金の伸びが強ければ、インフレ再燃を意識させ、見方が逆転する可能性がある。