EUR/JPYは月曜日、日中186.95近辺で推移し、前日比0.07%高となった。市場は日本銀行(日銀、BoJ)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定を待っている。
日銀は火曜日、政策金利(短期の金利の誘導目標)を0.75%で据え置く見通しだ。焦点は声明や総裁会見などの発信内容で、6月の利上げ(政策金利の引き上げ)を示唆するかどうかが注目される。
Central Bank Focus This Week
ECBは木曜日、政策を据え置き、預金金利(銀行がECBに資金を預ける際に適用される金利)を2%に維持するとみられる。中東情勢を背景に不確実性が強く、追加データを見極めたい局面だ。
ドイツではGfK消費者信頼感指数(家計の景況感を示す指標)が5月に-33.3へ低下し、3年超で最低となった。ただ、ユーロの反応は現時点で限定的だ。
中東情勢は引き続き市場の主要材料で、イランが米国に新たな和平案を送ったとの報道を受け、緊張緩和観測も出ている。一方で協議は停滞し、原油タンカーの通行制限(輸送の目詰まり)が2カ月続いており、原油価格は1バレル=100ドル近辺にある。
円は「安全資産」としての買い需要(リスク回避局面で選好されやすい資産への需要)に加え、エネルギー高によるインフレ見通し(物価が上がるとの予想)の影響を受けやすい。ユーロは成長の弱さと政策の見通しにくさが重荷で、EUR/JPYは中銀の発信と地政学ニュースに左右されやすい。
Options Market Signals
今週は主要中銀イベントを控え、EUR/JPYのオプション市場では「インプライド・ボラティリティ(予想変動率:オプション価格から逆算される将来の値動きの大きさの見込み)」が上昇している。1週間物は11.5%まで上がり、月間平均を大きく上回る。市場は大きな値動きに備えており、187.00近辺の狭いレンジからの放れを意識していることを示す。
注目は日銀だ。「フォワードガイダンス(先行きの政策運営についての示唆)」が円相場の最大の材料になりやすい。0.75%での据え置きは市場に織り込まれているが、日本のコアインフレ(生鮮食品など変動が大きい項目を除いた物価上昇率)は目標を上回る状態が続き、3月は2.8%だった。これが夏場の利上げ観測につながっている。2024年初めのマイナス金利(預けると手数料のように金利負担が発生する状態)からの大きな転換であり、短期間のEUR/JPYプット(売る権利:下落に備えるオプション)を買って「タカ派(インフレ抑制を優先し利上げに前向き)サプライズ」への備えとする戦略が意識される。
欧州ではスタグフレーション(景気停滞と物価上昇の同時進行)のリスクがあり、ECBは動きにくい。ドイツの消費者心理の急低下は懸念材料で、ユーロ圏の製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の景況感を示す、50が分岐点)も48.5と低迷し、長期の縮小局面を示す。景気の弱さは、エネルギー高による「輸入インフレ(海外要因で物価が押し上げられること)」への対応を難しくし、ユーロの上値を抑えやすい。
最大の問題は地政学リスクが原油を100ドル近辺に押し上げている点で、2022年のエネルギーショック(急激なエネルギー価格上昇による経済・物価への打撃)を想起させる。サプライチェーン(供給網)にも負荷がかかり、海上輸送コストは直近2カ月で約3倍になったとされる。こうした圧力は景気後退懸念を強め、ボラティリティ指数(市場の不安定さを示す指数)への投資や、エネルギー関連ETF(上場投資信託)のコール(買う権利:上昇に備えるオプション)を「ヘッジ(損失を抑えるための備え)」として検討する動きにつながりやすい。