NZD/USDは週明け月曜日の欧州序盤に0.5885近辺へ小幅に上昇し、0.5850を上回った。イランがホルムズ海峡の再開と紛争終結に関連する提案を米国に示したとの報道を受け、ニュージーランドドル(NZD)は米ドル(USD)に対して強含んだ。
提案には、恒久的な終結に向けた協議のため停戦を延長する内容が含まれていた。一方、ホルムズ海峡を巡る不透明感は依然として強く、中東情勢が再び緊迫すれば、「安全資産(リスク回避局面で買われやすい通貨)」として米ドルが支えられる可能性がある。
Fed Policy Outlook
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月の会合で政策金利を据え置く見方が大勢だ。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(米国の短期金利の中心となる政策金利)は3.50%~3.75%を維持し、据え置きは3会合連続となる見込み。
週後半は木曜日発表の米個人消費支出(PCE)物価指数に注目が移る。PCEはFRBが重視するインフレ指標で、予想以上に伸びれば、短期的に米ドルがニュージーランドドルに対して強含む可能性がある。
より広く見ると、NZDはニュージーランドの経済指標、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)のインフレ目標(1%~3%、中心は2%付近)、最大貿易相手国である中国の景気、主要輸出品である乳製品価格の影響を受けやすい。
NZD/USDは足元で0.6050近辺が下値支持として意識され、世界的に材料が交錯する中でも底堅さを示している。2025年の同時期に地政学リスクの前向きな報道でリスク選好(投資家がリスク資産を買いやすくなる状態)が一時的に強まった局面と似た動きであり、特に世界的な紛争の緩和に関するニュースに市場が敏感であることを示す。
Options And Volatility
2025年を振り返ると、イランによるホルムズ海峡再開の提案に期待が広がったが、今となっては遠い記憶にも見える。全面衝突は回避されているものの不透明感は根強く、2026年4月上旬には海軍演習でタンカー航行が一時的に妨げられたとの報道もあった。こうした潜在的な緊張は、急な情勢悪化に備える手段として「米ドルのコールオプション(あらかじめ決めた価格で米ドルを買う権利)」を購入するヘッジ(損失を抑える取引)も選択肢になり得ることを示す。
FRBは今週、政策金利を4.00%~4.25%で据え置く見方が優勢だ。背景には、3月のコアPCE(変動の大きい食品・エネルギーを除いた物価指標)が3.1%と高止まりしたことがある。ただしRBNZの政策金利(キャッシュレート)は5.00%であり、NZDを保有して金利差を得る「キャリー(高金利通貨を持つことで得られる金利収益)」は当面魅力がある。米NZ金利差はNZD/USDの下支え要因になりやすい。
また、NZDを支える基礎的な要因(ファンダメンタルズ)は前年より改善している。中国の財新製造業PMI(民間調査の景況感指数)は51.5となり、最大貿易相手国の景気が安定しつつあることを示唆する。さらに、乳製品の国際価格指標であるグローバル・デーリー・トレード(GDT)指数は上昇が続き、直近の競売では1.2%上昇し、輸出環境の追い風となっている。
地政学リスクと良好な基礎要因という相反する材料が重なることで、「インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される市場予想の変動率)」が実際より低く見積もられている可能性がある。トレーダーは、ストラドル(同じ権利行使価格のコールとプットを同時に買う)やストラングル(異なる権利行使価格のコールとプットを同時に買う)など、上下どちらかに大きく動いた場合に利益を狙う戦略を検討し得る。重要なのは、FRB会合や中東発の追加ニュースのタイミングに合わせて建てることだ。