ブルームバーグが月曜日、Axiosの報道を引用して伝えたところによると、イランはホルムズ海峡の再開と戦争終結を目的とした提案を米国に送った。報道は、米政府高官1人と事情に詳しい関係者2人の話としている。
提案には、恒久的な戦闘終結に向けた作業を進めるため、停戦を延長することが含まれていた。また、核交渉は先送りするとした。
計画では、米国によるホルムズ海峡の封鎖が解除された後にのみ核協議を開始するとしている。Axiosによれば、パキスタンの仲介者がこの提案をホワイトハウスに届けた。
米国がこの提案を検討するかは不明だという。市場の反応では、WTIは執筆時点で0.33%高の1バレル=93.70ドルとなった。
ホルムズ海峡は戦略上の重要性が極めて大きい。日量約2,100万バレルの原油が通過しており、世界の消費量の約21%に相当する。WTI(米国産原油の代表的な指標)は2026年4月下旬時点で1バレル=84ドル前後で推移しており、混乱の兆しが出れば10〜15%程度の急騰を招きやすい。こうした地政学リスクにより、価格は上方向に振れやすい。
この状況を受け、原油オプション市場のインプライド・ボラティリティ(将来の価格変動を市場がどの程度見込んでいるかを示す指標)は、平常時より高い。オイル・ボラティリティ・インデックス(OVX、原油オプションから算出される変動性指標)は、2025年の封鎖時に急上昇し、その後は低下したものの、歴史的な低水準をなお上回っている。この「ボラティリティ・プレミアム(変動性が高いと見込まれる局面でオプション価格が高くなりやすい状態)」が続いていることは、供給ショックの可能性が織り込まれていることを示す。
トレーダーは、長期限のコールオプション(一定価格で買う権利)を購入し、再燃リスクに備える、あるいは上昇を狙う選択肢がある。行使価格95ドルや100ドルは、数カ月前は遠い水準に見えたが、外交が再び行き詰まれば現実味を帯びる。こうしたポジションは、支払ったプレミアム(オプション代金)に損失が限定される形で、急騰局面の利益を狙える。
市場構造にも緊張感が表れている。オプション価格には「アップサイド・スキュー(上昇方向の保険が高くつく状態)」がみられ、アウト・オブ・ザ・マネーのコール(現時点では権利行使しても得にならない水準のコール)が、同程度に離れたアウト・オブ・ザ・マネーのプット(一定価格で売る権利)より割高だ。これは、市場参加者が下落より上昇を警戒していることを示す。
より大きなリスクを取れるうえで情勢の安定を見込む場合、キャッシュ・セキュアード・プット(現金を確保したうえでプットを売る取引)やクレジット・スプレッド(オプションの売り買いを組み合わせ、プレミアム受取りを狙う戦略)を低い行使価格で組む手法が魅力的に映ることがある。ボラティリティ・プレミアムを受け取りつつ最悪の事態を回避できるとの見立てに基づく。ただし、地政学の急変は一気に損失を拡大させ得るため、危険度は高い。
米エネルギー情報局(EIA)の最新データによれば、世界の商業在庫(民間企業が保有する原油在庫)は5年平均をやや下回っている。供給の余裕が小さいため、ホルムズ海峡での混乱を吸収する「緩衝材」が少ない。数日間の停止でも、供給が潤沢な局面に比べ、価格への影響はより迅速かつ深刻になりやすい。