WTI(米国の代表的な原油価格指標)は週初に上昇し、金曜日の下落分を一部取り戻したものの、94ドル台半ばを下回る水準で推移した。世界的な供給不安を背景に、日中では約1.0%高となった。
米国とイランの協議は進展が乏しい。トランプ米大統領が使節のスティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏によるイスラマバード訪問計画を中止した一方、イランのアッバス・アラグチ外相はパキスタンに到着した。ホルムズ海峡の封鎖(重要な海上輸送ルートを塞ぐこと)などが焦点で、地政学リスク(政治・軍事要因による市場変動リスク)は高止まりしている。
Hormuz Blockade Keeps Supply Risk Elevated
ホルムズ海峡の通航は、イランによる移動制限と米海軍によるイラン港湾の封鎖で、なお大きく制約されている。こうした状況は原油価格を下支えする一方、米ドル高(ドルの価値上昇)が上値を抑えた。
市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2026年も政策金利を現行レンジに据え置く確率を80%超と織り込んだ。これが米ドルを支え、ドル建て商品(原油など、価格がドルで決まる資産)の買い材料を弱めた。
WTIは「ライト(軽質:軽く精製しやすい)」で「スイート(低硫黄:硫黄分が少なく品質が良い)」な原油として知られ、クッシング(米オクラホマ州の原油集積拠点)経由で流通する。価格は需給、地政学的混乱、OPEC(石油輸出国機構)の政策、米ドルの変動、在庫統計で左右される。在庫統計にはAPI(米石油協会)とEIA(米エネルギー情報局)があり、両者の数値は概ね近い傾向がある。
WTIが1バレル94ドルを上回っている現状では、ホルムズ海峡を巡る緊張が最大の材料だ。米イラン協議に進展がない以上、供給リスクは短期で解消しにくい。
Trading Implications And Risk Factors
ホルムズ海峡の重要性は極めて大きい。1日当たり2,000万バレル超が通過し、世界の石油消費の約21%に相当する。封鎖が長期化すれば、価格が3桁(100ドル超)へ上振れする可能性がある。両国の艦艇の動きや外交発言を注視したい。
一方、米ドル高は原油の上値を抑える要因となっている。3月のCPI(消費者物価指数:インフレ指標)が3.5%となり、市場はFRBの高金利維持を強く意識している。こうした金融政策はドルを支え、原油の急騰を抑える方向に働きやすい。
在庫統計は需給の引き締まりを示唆している。先週のEIA統計では在庫が310万バレル減少し、市場予想(小幅増)に反した。今週水曜日の統計で同様の減少が確認されれば、95ドル付近の上値抵抗線(上昇が止まりやすい水準)を試す展開になり得る。
この環境では、5月・6月限で権利行使価格(あらかじめ決めた売買価格)が95ドル超のコールオプション(将来、決めた価格で買う権利)を買う戦略が選択肢となる。95ドルという心理的節目(意識されやすい水準)を上抜けた局面の上昇に備えやすい。ホルムズ情勢が解決しなければ、98〜100ドル方向への上昇が現実味を帯びる。
2025年後半の初期封鎖局面では100ドル超まで急騰した経緯があり、市場の反応は速い。強気を基本としつつ、アウト・オブ・ザ・マネーのプット(現値より下の水準で売る権利)でヘッジ(損失を抑えるための保険)を組み合わせる考え方もある。外交面で突発的な打開があれば急反落もあり得るため、備えが必要だ。