米軍当局者が、現在の停戦が崩れた場合に備え、ホルムズ海峡におけるイランの軍事能力を標的とする新たな作戦計画を策定していると、CNNが木曜日に報じた。計画には、ホルムズ海峡周辺、アラビア湾南部、オマーン湾周辺の資産(軍事施設や装備など)に対して状況に応じて標的を選ぶ「動的ターゲティング(リアルタイムで標的を更新して攻撃する運用)」が含まれるという。
執筆時点で、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は日中で3.80%高の1バレル=95.45ドル。ブレント原油は北海産の原油で、国際価格の指標(ベンチマーク)として使われ、世界で取引される原油のおよそ3分の2の価格の目安になっている。
ブレント価格の主な変動要因
ブレント価格は主に需給で決まり、世界景気が需要に影響する一方、紛争、制裁、政治不安が供給を左右する。OPEC(石油輸出国機構)は12の産油国で構成され、年2回の会合で生産枠(生産量の上限)を決める。OPEC+はOPECに加えて、ロシアを含むOPEC非加盟10カ国が協調して生産方針を調整する枠組み。
米ドルの動きも原油価格に影響する。原油は米ドル建てで取引されるため、一般にドル高は他通貨建てで見た原油の割高感につながり、需要を抑えやすい。米石油協会(API)と米エネルギー情報局(EIA)が週次で公表する在庫統計も材料になる。APIは業界団体による推計、EIAは米政府機関の統計で、両者の結果は75%の確率で差が1%以内に収まるとされる。
米国がホルムズ海峡のイラン防衛網を標的にする計画を進めているとの報道を受け、原油には地政学的リスク・プレミアム(紛争などの懸念を織り込んだ上乗せ分)が急速に加わっている。世界の原油供給の大部分がホルムズ海峡を通過するため、衝突の可能性は主要な供給上のボトルネック(物流・輸送の要所)を直接脅かす。こうした不確実性を背景に、今週ブレントは1バレル=101ドルを上回る水準まで急伸した。
向こう数週間は大きく振れやすい相場展開に備える必要がある。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX、原油オプションの価格から算出される予想変動率)はすでに45を超え、今年の高水準となった。市場が大きく急な値動きの可能性を織り込んでいることを示す。原油先物のコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)の購入は、急騰局面の利益機会を狙いつつ、損失を支払ったオプション料に限定できる手段として考えられる。
この緊張は、もともと需給が引き締まった市場環境の中で起きており、値動きを増幅しやすい。OPEC+は4月上旬の会合で生産枠を据え置いた。さらに、最新のEIA統計では在庫が予想以上に310万バレル減少した。供給余力が限られ需要が底堅いという状況が、原油相場の下支えになっている。
過去のシグナルと市場環境
同様の状況は過去にも起きている。2025年には、紅海でのフーシ派の攻撃により海上輸送が混乱し、原油価格に数カ月にわたり大きな上乗せがついた。2019年にも同地域でタンカーへの被害が発生し、原油が1日で約20%上昇した例があり、事態が急速に悪化し得ることを示している。
ブレントはWTIより中東の供給途絶の影響を受けやすいため、両指標の価格差(スプレッド)が拡大すると見込まれる。こうした差を狙う戦略も考えられる。先物を直接売買するより、オプション・スプレッド(複数のオプションを組み合わせてコストとリスクを抑える取引)を使うことで、コスト管理や、突然の緊張緩和でリスク・プレミアムが消える事態への備えになる。