中東情勢の緊張が高まるなか、米ドル(米国の通貨)への需要が増え、GBP/USD(英ポンドと米ドルの通貨ペア)は1.3500近辺で推移した。この環境では上値が重かった。
報道によると、米国とイランはホルムズ海峡周辺で行動を激化させ、船舶や原油タンカーを拿捕(だほ:取り押さえること)しようとする動きも含まれた。パキスタン当局者は、ワシントンとテヘランの協議が凍結状態にあると述べた。
米ドルは「安全資産(リスク回避局面で買われやすい資産)」としての性格から買いが入りやすく、GBP/USDの上昇を抑えている。ホルムズ海峡は世界の石油消費の約2割が通る要衝で、混乱が起きれば投資家が「安全な資産へ資金を移す動き(リスク回避)」を強めやすい。その結果、米ドルが強含み、英ポンドの上値を押さえやすい状況にある。
足元の小動きは、市場参加者が将来の「大きな値動き」を見込み、オプション市場(将来の価格変動に備える取引)で「インプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の値動きの大きさ)」が上昇していることを示す。GBP/USDのオプションでは1カ月物のインプライド・ボラティリティが9%超まで上がり、先月の7%台前半から上昇した。これは、1.3500近辺の狭いレンジからの離脱をオプション市場が想定しているサインといえる。
経済指標は英ポンドの下支え材料でもある。英国の最新のCPI(消費者物価指数:物価の上がりやすさを示す指標)は前年比3.2%となり、英中銀(イングランド銀行)の目標をなお上回る。これにより、近い時期の利下げ観測(政策金利を下げるとの見方)が強まりにくい。こうした英ポンドの基礎的な支えと、安全資産としての米ドル買いが拮抗し、いずれ大きな値動きにつながりやすい地合いとなっている。