米カンザスシティ連銀(Kansas Fed)の製造業活動は4月に鈍化し、指数は前月の11から10へ低下した。
最新の数値はなお拡大(活動が増えている状態)を示すが、伸びの勢いはやや弱まった。
過去のシグナルと市場への教訓
2025年4月にも、カンザスシティ連銀製造業指数が10へ低下した局面があった。この小幅な低下は、その後2四半期にわたる景気の減速(経済活動が弱まること)に先行する兆しとなり、その期間は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ・利下げを止めて様子見(政策金利の調整を一時停止)した。こうした経緯は、足元の市場ポジションを考えるうえで参考になる。
現在の環境にも減速の兆しがあり、当時の事例は示唆に富む。最近のデータでは、新規失業保険申請件数(失業手当の申請の新規受付件数)が21万9000件へ増加し、2026年3月のシカゴ購買部協会景気指数(Chicago PMI、製造業などの景況感指数)は48.2と縮小(50を下回ると景気が悪化している状態)を示した。弱い指標が続いており、慎重姿勢が求められる。
この状況を踏まえると、今後数週間で市場の変動(価格の上下の大きさ)が拡大する可能性がある。そこで、VIX指数(S&P500の予想変動を示す指標で「恐怖指数」とも呼ばれる)のコールオプション(将来、決められた価格で買う権利)を、5月・6月満期で買うことを検討している。株式が下落する局面への保険(ヘッジ)になりやすい。
また、金利見通しも変化し得る。製造業の弱含みが続けば、FRBがタカ派(利上げに前向きな姿勢)を維持するのは難しい。短期金利見通しの低下で利益が出る可能性があるSOFR先物(米国の短期金利指標SOFR=担保付き翌日物調達金利をもとにした先物)でのポジションも検討している。
セクター入れ替え(ローテーション)と守りのポジション
この見通しに基づき、オプションを使ったセクター入れ替えを想定する。製造業の減速の影響を受けやすい企業が多いことから、資本財・産業株ETF(XLI)のプットオプション(将来、決められた価格で売る権利)を買うことに妙味がある。セクターの追加下落に備える手段となる。
一方で、市場の守りの領域でロング(買い持ち)を構築したい。生活必需品ETF(XLP)のコールオプションを検討している。生活必需品セクターは、景気不透明な局面でも業績が比較的底堅い傾向がある。