USD/JPYは木曜のアジア時間に159.35近辺までやや下落し、ドルは円に対して軟化した。木曜遅くにS&PグローバルのPMI(購買担当者景気指数:企業の景況感を示す指標)の速報値が公表される。
トランプ米大統領は火曜、イラン側の「統一案」を待つとして、停戦の延長を表明した。イランは米海軍の封鎖がある中でもホルムズ海峡(中東の重要な石油輸送ルート)を再封鎖しないとし、ホワイトハウスは、同海域でイランが船舶2隻を拿捕したとの主張は停戦違反とは見ていないと述べた。
レバノンは木曜のワシントンでの協議で、イスラエルとの停戦を1カ月延長するよう求める見通し。4月14日のレバノン・イスラエル協議は数十年ぶりで、その後米国が10日間の停戦を発表したが、これは日曜に期限を迎える。
日銀の植田和男総裁は、戦争に伴う「供給ショック(供給側の混乱で物価や景気に影響が出る事象)」による不確実性を理由に、4月の利上げを示唆しなかった。市場では、日銀が少なくとも2026年6月まで政策金利を据え置くとの見方が広がっている。
ロイターによると、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が5月に利上げする確率を72〜77%と織り込み、6月までの利上げはほぼ99%と見込んでいる。
USD/JPYが159.35まで下げた背景には、イラン停戦延長で「安全資産需要(不安時に買われやすい通貨への需要)」が弱まり、ドル買い圧力が後退したことがある。ただ、この下げは上昇トレンドの中の一時的な反応にとどまる可能性がある。
一方、ホルムズ海峡を巡るイランの姿勢や、レバノン・イスラエル停戦の不安定さなどを踏まえると、急な値動き(ボラティリティ:価格変動の大きさ)には警戒が必要だ。選択肢(オプション:一定の価格で売買する権利)を使い、想定外の急変動に備える戦略が有効になりやすい。
最大の材料は、米国と日本の金利差(政策金利の開き)の大きさだ。FRBの利上げ観測が強い一方、日銀は様子見姿勢が続くため、差は5.5%ポイント超に拡大する可能性がある。金利差が大きい局面では、低金利通貨で資金を調達し高金利通貨で運用する「キャリートレード」が進みやすく、歴史的にドル高・円安要因になってきた。
地政学リスクを受け、USD/JPYのオプションの「インプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動率)」は高止まりしやすい。木曜の米PMI速報は米景気の強さを測る次の試金石で、強い結果ならFRBの「タカ派(金融引き締めに積極的)」姿勢を支え、USD/JPYを押し上げやすい。
中銀政策による下支えを前提にすると、向こう数週間のUSD/JPYで「アウト・オブ・ザ・マネーのプット売り(現在値より下の行使価格の売る権利を売り、下落しないと見てプレミアム=受取手数料を得る手法)」は妙味がある。金利差が円高の上値を抑え、急落が長続きしにくい構図があるためだ。