英国の小売物価指数(RPI、生活費の動きを示す物価指標)は3月に前年同月比4.1%上昇した。市場予想の3.9%を上回った。
3月の結果は予想より0.2ポイント高い。RPIベースのインフレ率が想定以上の水準で続いていることを示す。
この予想超えのインフレは、英国での物価上昇圧力が想定より根強い可能性を示唆する。イングランド銀行(BoE、英国の中央銀行)は、夏に織り込まれていた利下げ(政策金利の引き下げ)を先送りする理由として重視しそうだ。したがって、2026年末までの金利見通しは、よりタカ派(利下げに慎重で金利を高めに維持する姿勢)に修正しておく必要がある。
今回の指標は単独ではない点で、投資戦略上の重要性が増す。直近の統計では、2026年2月までの3カ月の賃金上昇率が5.6%と高水準を維持した。賃金上昇は、サービス価格(外食や宿泊などの価格)の押し上げにつながりやすく、BoEが特に警戒する「サービスインフレ」を強める要因になる。基調的なインフレ圧力が想定ほど早く弱まっていないことが確認された。
金利トレーダーにとっては、英国債(英国政府が発行する国債)が売られ、利回り(債券価格と逆に動く金利指標)が上昇しやすい展開を想定すべきだ。SONIA先物(英短期金利の指標であるSONIA=日次の無担保翌日物金利を基にした金利先物)のフォワードカーブ(将来の金利見通しを示す曲線)は再調整が進んでおり、市場が見込む9月利下げ確率は50%未満に低下した。先月は80%超だった。短期金利の上昇で利益が出やすいポジションや、金利スワップ(固定金利と変動金利を交換する取引)で固定金利を支払う戦略(=金利上昇に備える取引)の妙味が増している。
この状況は、2024年に見られたパターンに近い。インフレが鈍化せず、市場がBoEの利下げ時期を繰り返し後ろ倒しした局面だ。その間、ポンドは、よりハト派(利下げに前向きな姿勢)の中央銀行を持つ通貨に対して上昇した。過去の経緯からは、今回も同様に、利下げを早急に織り込むことがコストの大きい誤りになり得る。