ニュージーランドの消費者物価指数(CPI、家計が購入する商品・サービスの平均的な価格の変化率)は第1四半期に前期比0.9%上昇し、前年比は3.1%と横ばいだった。第4四半期(前期比0.6%、前年比3.1%)から伸び率は加速した。品目別では、ガソリン(+3.5%)、医薬品(+17.7%)、菓子(+6.2%)が上昇した一方、国際航空輸送(-7.0%)と前払いの海外宿泊(-4.0%)は下落した。
国内要因の物価(非貿易財インフレ=輸入ではなく国内の賃金や家賃、公共料金などで動きやすい物価)は前期比1.1%、前年比3.5%に上昇し、第4四半期(前期比0.7%、前年比3.5%)から前期比の伸びが強まった。電気料金(+12.5%)と地方自治体の固定資産税などの料金(+8.8%)が押し上げた。
市場の動きは、NZX50が0.13%高の1万2932、NZドル/米ドルが0.477%高の0.5908、ニュージーランド10年国債利回りが2.6bp(bp=0.01%ポイント)上昇して4.617%だった。NZIER(ニュージーランド経済研究所)の四半期企業景況感調査では、第1四半期に「景気が改善する」と見込む企業の純割合(改善の回答比率から悪化の比率を差し引いた指標)が1%となり、第4四半期の39%から大きく低下した。
同調査は、信頼感の悪化要因として、米国とイスラエルによる対イラン戦争、ホルムズ海峡での海運制限、燃料費の上昇を挙げた。また、RBNZ(ニュージーランド準備銀行)が7月にOCR(政策金利の中核で、短期金利の基準となる「オフィシャル・キャッシュ・レート」)を25bp引き上げるとの見方にも触れた。
粘着的な非貿易財インフレを受け、RBNZはより引き締め姿勢(タカ派=利上げに前向き)になる可能性が高い。前年比インフレ率が3.1%で停滞するなか、市場は利上げリスクを織り込みつつある。NZドルと国債利回りの上昇は、7月利上げが中心シナリオになりつつあることを示す。
今後数週間は、短期金利の上昇に備えたポジションを検討したい。OIS(翌日物金利スワップ=将来の短期金利見通しを反映しやすい金利デリバティブ)の示唆では、7月に25bp利上げとなる確率が85%を上回る。短期金利スワップで固定金利を支払う(Pay fixed=金利上昇で利益が出やすい取引)またはペイヤー・スワプション(将来、固定支払いのスワップを開始する権利=金利上昇に備えるオプション)を買うことが、見通しを直接反映する手段となる。
他国中銀との金利差拡大が見込まれるなら、NZドルを下支えしやすい。RBNZ会合を前に、NZD/USDのコールオプション(一定の価格で買う権利)を買い、上昇余地を取りに行く戦略も有効だ。この方法は、NZドル高の恩恵を狙いつつ、損失の上限(支払ったオプション料)を限定できる。
ただし、企業景況感の急低下は景気減速の兆候であり注意が必要だ。RBNZは2022~2023年に、成長見通しが下方修正される局面でも大幅な利上げを進めた経緯がある。この歴史はインフレ抑制を優先する可能性を示す一方、景気を冷やし過ぎる政策ミスのリスクも高まりつつある。