GBP/USDは月曜日に0.1%上昇し、1.3530前後となった。先週の高値1.3600近辺からは小幅に反落した。4月上旬の安値1.3160近辺から反発後、1.3500〜1.3600のレンジで推移している。
市場を動かしているのは地政学リスクだ。2週間の米・イラン停戦は水曜夜に期限を迎える見込みで、延長は「可能性が極めて低い」とされる。米国がオマーン湾でイランの貨物船を拿捕したことを受け、WTI先物は6%超上昇し、1バレル89ドルまで跳ねた。WTI(West Texas Intermediate)は米国の代表的な原油指標。
今後の主な材料は、英国の雇用統計、米国の小売売上高、そしてFRB(米連邦準備制度理事会)議長指名予定のケビン・ウォーシュ氏の上院公聴会だ。英国と米国のCPI(消費者物価指数、インフレ指標)および速報PMI(購買担当者景気指数、企業アンケートによる景況感指標)も控える。金曜には英国の小売売上高、米ミシガン大学の消費者信頼感指数(心理の指標)の発表が予定されている。
GBP/USDは15分足で1.3534、当日の始値は1.3485、ストキャスティクスRSIは18.85だった。ストキャスティクスRSIは、相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を測るテクニカル指標。日足では1.3535で取引され、50日EMA(指数平滑移動平均、直近の値動きを重視する移動平均)は1.3421、200日EMAは1.3358、ストキャスティクスRSIは93.74だった。EMAはトレンドの方向感を把握するのに使われる。
ポンドは886年に起源を持ち、取引量は世界4位。為替市場(FX)全体の12%を占め、1日あたり約6,300億ドル(2022年)の取引がある。FXは外国為替市場。GBP/USDはFXの11%、GBP/JPYは3%、EUR/GBPは2%で、金融政策は英中銀(イングランド銀行)が担う。
GBP/USDは1.3530近辺で持ち合いだが、4月上旬安値からの上昇は勢いが鈍い。日足のストキャスティクスRSIは強い買われ過ぎを示し、上方向のモメンタム(勢い)が伸び切っている可能性がある。この鈍さを踏まえると、明確な材料が出るまで新規の買い(ロング)を増やすのはリスクが高い。
焦点は米・イラン停戦の期限が迫っている点で、不確実性が大きい。2022年初の地政学リスク局面では、ブレント原油が2週間で30%超上昇した。ブレントは世界的に参照される原油指標。WTIがすでに89ドルまで上昇している中、停戦延長に失敗すれば「リスク回避」(安全資産志向が強まる局面)が進み、ドル高・GBP/USD安につながりやすい。
このように結果次第で動きが大きく変わる局面では、値幅拡大に備えるオプション取引が有効となる。ストラングル(権利行使価格が現在値から離れたコールとプットを同時に買う戦略)を買う方法がある。方向を当てにいかず、停戦関連のニュース後に上下いずれかへ急変すれば利益を狙える。
地政学リスクに加え、今週は英米の重要指標が集中する。過去には英国CPIの発表で、GBP/USDが発表直後1時間で50〜80ピップス動くことがある。ピップスは為替の最小の値幅単位(多くの通貨ペアで0.0001)。今回のCPIは英中銀の政策見通しに直結し、変動要因になる。
すでにロングを保有している場合は、下落に備えて利益を守るのが妥当だ。50日移動平均付近の1.3420近辺を権利行使価格とするプロテクティブ・プット(保険としてプットを買う手法)を検討できる。これにより、地政学リスクの悪化や英国指標の弱さで下落しても損失を限定しやすい。