TDセキュリティーズは、英国の2月の労働市場統計が「落ち着き」を示すとみている。失業率は前回の5.2%から5.1%へ小幅に低下し、市場予想(市場参加者の平均見通し)の5.2%を下回る見通しだ。雇用者数は5万人増を予想しており、市場予想の3万5,000人増、前回の8万4,000人増と比較している。
同行は賃金の伸びが各指標で鈍化すると見込む。AWE(平均週間賃金。雇用者が1週間に受け取る賃金の平均)は3.6%(直近3カ月の前年同期比、3m/y)、賞与(ボーナス)を除くAWEは3.5%(3m/y)、民間部門の賃金伸び率は3.2%(3m/y)で、いずれも市場予想とおおむね一致するとしている。
同統計はイランを巡る軍事衝突以前のデータであり、労働関連の統計は発表まで時間がかかり実態の変化に遅れて表れやすい。このためTDセキュリティーズは、MPC(英中銀の金融政策委員会)は足元の賃金動向よりも、インフレ期待(人々が今後の物価上昇をどれくらい見込むか)により重きを置けるとしている。なお、この記事はAIツールの支援を受けて作成され、編集者が確認したと記されている。
直近の軍事衝突はエネルギー市場に大きな衝撃を与え、ブレント原油先物(北海産原油を基準にした将来の売買価格)は1バレル=110ドルを突破し、2022年末以来の水準となった。その結果、英国のインフレ期待が上振れしている。最新のYouGov(世論調査会社)の4月調査では、5年先の期待インフレ率(5年後までの物価見通し)が4.2%へ上昇した。これによりMPCはインフレ対応を最優先せざるを得ず、過去の賃金統計の重要性は相対的に低下する。
この環境では、主要な取引テーマはボラティリティ(価格の振れの大きさ)になる。英国金利の道筋が不透明なためだ。3カ月物の英ポンド・オプション(一定期間内にあらかじめ決めた価格で売買できる権利)のインプライド・ボラティリティ(市場価格から逆算される将来の変動見通し)は、2022年の「ミニ予算」危機(トラス政権の減税策などで市場が混乱した局面)を想起させる水準まで急上昇している。中銀は景気減速リスクと新たなインフレショックの板挟みであり、相場の大きな変動で利益になりやすい戦略が意識される。
金利先物市場(将来の政策金利水準を織り込む取引)は、この数週間で織り込みを急速に変更した。市場では2026年の利下げ観測がほぼ消え、8月までに追加利上げとなる確率を40%程度織り込む動きが出ている。これは「高金利が長期化(higher for longer)」シナリオを想定したポジションを示唆する。具体的には、SONIA先物(英短期金利指標SONIAに連動する先物)を使う、または金利スワップ(金利の支払いを固定と変動で交換する取引)で固定金利を支払う(=固定払い。金利上昇に備える)ことで、借入コスト上昇リスクを抑える方法がある。