トランプ米大統領はSNS「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」で、米国代表団が月曜日にパキスタンの首都イスラマバードを訪れ、イランとの交渉を行うと述べた。トランプ氏は、この協議をホルムズ海峡を巡る緊張と結び付けた。
同氏は、イランがホルムズ海峡で「発砲した」と投稿し、停戦合意(戦闘を止める取り決め)違反だと主張した。発砲はフランス船と英国の貨物船に向けられたとしている。
トランプ氏は、イランが海峡封鎖を表明した一方で、米国の「封鎖(blockade:船の通行を実力で妨げる措置)」によりすでに海峡は閉鎖されている、とも述べた。海峡が閉鎖されればイランは「1日当たり5億ドル」の損失になるとした。
さらに米国は「何も失わない」と述べ、多くの船舶が米国(テキサス州、ルイジアナ州、アラスカ州など)に向かい貨物を積み込むとしている。この文脈でIRGC(Islamic Revolutionary Guard Corps:イラン革命防衛隊)に言及した。
トランプ氏は米国が「非常に公平で合理的」な取引を提示しているとし、合意がなければイランの「すべての発電所(電力をつくる施設)とすべての橋」を破壊すると脅した。
また、この対応は「過去47年間」の歴代米大統領が取るべきだったとも述べ、同氏が「イランの殺戮マシーン」と呼ぶ状況を終わらせるべきだとして締めくくった。
VIX指数(米S&P500のオプション価格から算出される、株式市場の不安の強さを示す指標。一般に「恐怖指数」と呼ばれる)の急騰が見込まれ、向こう数日で20を大きく上回る可能性が高い。高官級の交渉と直接的な軍事的威嚇が同時に出ることで不確実性が最大化し、VIXを押し上げやすい。2024年4月にも地域緊張でVIXが19超まで上昇したが、今回は規模がより大きくなる可能性がある。
最も直接的な取引は原油高、特に北海ブレント先物(国際的な原油価格の代表的な指標)だ。ホルムズ海峡は世界の石油(液体燃料)消費の約21%が通過する要衝であり、現在は実弾が飛び交う状況だという。安全面の上乗せ(リスクプレミアム:供給不安に対する価格の上乗せ)を直ちに織り込む必要がある。価格は昨年一時触れた1バレル=100ドル水準を早期に試す可能性がある。
ブレントとWTI(米国産原油の代表指標)価格差の拡大にも注意したい。米国産原油はこの海上のボトルネック(通過が難しい地点)の影響を相対的に受けにくい。船舶がテキサスやルイジアナに向かうという発言は、米国の輸出が恩恵を受けるとの見方を強め、WTIが国際指標であるブレントに対して相対的に有利になりやすい。過去の中東危機では、このスプレッド(価格差)が10ドル超まで急拡大した例があり、今回も同様の動きが起き得る。
安全資産としての金への需要増を見込み、主要なヘッジ(損失を抑えるための保険的な投資)として金のコール(買う権利のオプション)を積極的に買う。これは典型的な「逃避先(flight-to-safety:リスク資産から安全資産へ資金が移る動き)」であり、2024年春には類似の不安で金価格が1オンス=2,400ドル超の最高値を付けた。主権国家(独立した国家)のインフラへの直接攻撃の脅しは、2025年に見られた中央銀行の金購入以上に金相場の強い材料になり得る。
防衛関連株も注目される。発電所や橋の破壊という言及は、高度な誘導兵器(精密に目標を狙う弾薬)の使用を示唆するためだ。レイセオンやロッキード・マーチンなど主要防衛企業、ならびに航空・防衛ETF(上場投資信託:株式のように取引できる投資信託で、指数やセクターに連動)に買いが集まりやすい。軍事行動の確率が市場で織り込まれることへの直接的な反応である。
ただし、イスラマバードで合意に至れば、相場が急反転する可能性にも備える必要がある。外交面の進展は原油価格の急落と株高につながり得るため、弱気ポジション(下落を見込む投資)は慎重な管理が必要だ。結果が「どちらかに大きく振れる」状況のため、原油ETFでのロング・ストラドル(同じ権利行使価格・期限でコールとプット〔売る権利〕を同時に買い、大きな値動きで利益を狙う戦略)が有効になりやすい。