カナダの海外証券へのポートフォリオ投資は2月に253億6,000万ドルへ増加し、前月の113億9,000万ドルから拡大した。
データでは前回から139億7,000万ドル増えており、2月はカナダ勢の海外証券購入のペースが加速したことを示す。
2月の海外証券への流出(資金が国内から海外へ移ること)が253億6,000万ドルに達したことは、カナダドルにとって大きな弱材料(相場の悪化要因)だ。資金流出が前月の2倍超となり、カナダドル(CAD)を売る圧力(為替でCADを売って外貨を買う動き)を直接強める。したがって、短期的には米ドルに対するカナダドルの軟調が続く可能性が高い。
この流出基調を踏まえると、現在1.3850近辺で推移する米ドル/カナダドル(USD/CAD、1米ドルを買うのに必要なカナダドルの量)の上昇余地がなおあるとみる。5月・6月満期で権利行使価格(あらかじめ決めた売買価格)1.4000近辺のコールオプション(将来、決めた価格でUSD/CADを買う権利)を購入することは、損失が支払ったプレミアム(オプション料)に限定される形でこの動きに備える手段となる。想定どおりカナダドルが下落(USD/CADが上昇)すれば利益となる。
海外での収益を求める動きの背景には、カナダ市場の出遅れがある可能性が高い。S&P/TSX(カナダ株の代表指数)は年初来で+1.5%と伸び悩む一方、S&P500(米国株の代表指数)は+6%超だ。この差は、デリバティブ(株価指数などを対象にした金融派生商品)を使ってカナダ株の相対的な弱さに備える考え方を後押しする。広範なTSX指数連動ETF(上場投資信託)に対するプットオプション(将来、決めた価格で売る権利)を買い、下落リスクを抑える(ヘッジする)余地がある。
さらに、この資金流出はカナダ銀行(中銀)が金融環境の引き締まりを避けるため、より慎重、またはハト派(利上げに慎重な姿勢)のスタンスを取りやすくする可能性がある。金利デリバティブ(将来の金利水準を取引する商品)では、年央までの利上げ確率が先月より低く織り込まれている。市場がこの流出データを景気面の悪材料として取り込み始めたことを示す。