ラボバンクは、メキシコ中央銀行(Banxico)が2026年6月ではなく5月7日の金融政策決定会合で、追加で0.25%ポイント(25bp、政策金利の引き下げ幅を示す単位)利下げすると予想している。これにより政策金利は6.75%から6.50%へ低下し、年末時点で6.50%になる見通しだ。
Banxicoの議事要旨によると、金融政策を決める理事会は多数決で、翌日物銀行間金利の目標を0.25%ポイント引き下げて6.75%とした。政策はなお抑制的(景気を冷やす方向)で、景気の弱さ、需給の緩み(供給に比べ需要が弱い状態)、一時的な相対価格の変動(特定品目の値動き)に伴うインフレ圧力があると説明した。
議事要旨は、今後の判断は入手する経済データと外部環境に左右されるとし、中東情勢(中東での衝突)の展開にも言及した。Banxicoは、予測期間中に総合インフレ率(全体の物価上昇率)が目標である3%へ近づくことを目指すとしている。
ラボバンクは、Banxicoの会合が3月の消費者物価指数(CPI、家計が購入する品目の価格動向を示す指標)公表前に行われた点を指摘した。さらに、メキシコの成長リスクは下方向に偏り、インフレは一時的なコア以外の要因(食品・エネルギーなど振れが大きい項目)によって押し上げられていると述べた。
ラボバンクは、自社の金利見通しに対するリスクは、これ以上の利下げが行われない方向に傾いているとも指摘した。
同社は、5月7日の次回会合で0.25%ポイントの利下げを織り込む形に予測を修正する。そうなれば政策金利は6.50%となり、年末までその水準が維持されるとみる。理事会は、一時的なインフレ上振れをいったん脇に置き、減速する景気を支える姿勢がうかがえる。
利下げ観測は、足元の景気指標でも補強される。メキシコの経済活動指数IGAE(国内の月次の景況感に近い指標)が先月わずかに縮小したためだ。これは成長リスクが下振れに偏るとの見方と整合的で、議事要旨でも多数派が景気減速への配慮を重視していることが示された。
一方、先行きは見通しにくい。3月のCPIは4.5%と、目標の3%を大きく上回り、判断を難しくする。物価の下がりにくさ(インフレの粘着性)が強まれば、利下げではなく据え置きを選ぶリスクが高まる。
2025年後半にも、想定外のインフレ上昇を受けてBanxicoが利下げ局面を一時停止した経緯がある。この経験は、理事会がデータ次第で動き、物価上昇が連鎖的に広がる「第二波」の影響(賃金や他の価格に波及すること)を警戒すれば利下げしないことを示す。今後は、現在の物価圧力を一時的とみなすかどうかが焦点になる。
不確実性が高い中、デリバティブ(金融派生商品、金利や為替などを元にした取引)市場の参加者は、利下げが実施された場合のペソ安に備えるポジションを検討すべきだ。ドル/ペソ(USD/MXN)のコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買えば、利下げ後の通貨下落で利益を狙え、損失は支払った代金に限定できる。
弱い景気としぶといインフレという相反する材料は、為替の変動率(ボラティリティ、値動きの大きさ)が高まりやすいことを示す。どちらの方向に大きく動いても利益を狙えるオプション戦略(例:ロング・ストラドル=同じ条件の買いのコールと買いのプットを組み合わせ、大幅な値動きで利益を狙う手法)が有効になり得る。重要なのは、5月7日の発表後に市場が大きく反応する可能性を前提に備えることだ。