株式市場は、米国とイランの協議が決裂したことを受け、アジア市場の下落に連動して1%超の安寄りが見込まれていた。北海ブレント原油も窓を開けて上昇し、月曜朝の取引開始時点で1バレル=100米ドルを上回った。
欧州株指数は、金曜に相対的に堅調だった反動で下落が予想された。米国株は金曜に下落して引け、S&P500は0.1%安、ハイイールド債(信用力が低めの企業が発行する高利回り債券)は0.4%安となった。インフレ指標が底堅かったにもかかわらず、リスク資産には売りが出た。
欧州市場、「追い下げ」への警戒
欧州では、ストックス600が金曜に0.4%高で終了し、OMXノルディックは1.3%上昇した。週末のニュースを受け、欧州市場では「追い下げ(出遅れて下げる動き)」が起きるとの見方が強まった。
米国では金曜、テクノロジーが比較的堅調だった一方、ソフトウエア株は下落が続いた。ただし、半導体株が強く、ソフトウエアの弱さを補ったと報じられた。
素材株や不動産株は堅調だった一方、ヘルスケアや生活必需品などのディフェンシブ(景気に左右されにくい防御的セクター)は下落した。株式と株価指数先物は下落し、米ドルはやや強含んだ。
2025年初頭、米国とイランの協議決裂を受けて市場がリスク回避(リスクの高い資産を避けて安全資産に移す動き)に傾き、ブレント原油が急騰し、株価指数先物が急落した局面があった。産油地域の地政学リスクが高まると市場が敏感に反応することを示す例であり、当時は米ドル高(安全資産としての買い)が目立った。
原油ショックに備えるデリバティブ戦略
OPEC+(主要産油国で構成する枠組み)による増産協議を控え緊張が再燃するなか、同様のリスクが意識されやすい。米エネルギー情報局(EIA)は、世界の石油在庫が過去5年平均を3%下回っていると報告しており、供給ショック(供給側の急変による価格急騰)に弱い状況が続く。在庫が薄い局面では、見出しニュース一つでも価格が動きやすい。
そのため、デリバティブ(株価指数先物・オプションなどの派生商品)取引では、ボラティリティ(価格変動の大きさ)上昇に備えたポジションが選択肢となる。VIX(S&P500の予想変動率を示す「恐怖指数」)が16近辺の低水準にある局面では、コールオプション(一定価格で買う権利)を買うことで、比較的低コストでヘッジ(損失を抑える保険)や急落時の利益獲得を狙える。2024年の類似局面ではVIXが1日で25%超上昇したことがあり、急変の余地がある。
エネルギー市場は緊張の高まりを直接反映しやすい。ブレント原油が1バレル=94ドル近辺で推移するなか、期近の先物(満期が近い先物)を買う、またはコールオプションを買うことで、100ドル水準への上振れに連動した投資が可能となる。ペルシャ湾を巡る地政学イベントは短期間で1バレル当たり10〜15ドルのリスクプレミアム(不確実性に対して上乗せされる価格)を生みやすい。
一方、2025年の局面でも、半導体など景気敏感株(景気に連動しやすいセクター)の強さが続いた例がある。より高度な取引としては、公益株ETFのXLU(公益株に連動する上場投資信託)などディフェンシブETFのプット(一定価格で売る権利)を買い、同時にテックや素材ETFのコールを買う方法がある。ヘッドラインリスク(ニュースに左右される短期リスク)があっても、成長を求める投資行動が崩れにくいという見方を反映できる。
安全資産志向が強まれば、米ドルは上昇しやすい。DXY(主要通貨に対する米ドル指数)が105近辺で推移するなか、海外資産を持つ投資家にとっては、UUP(米ドルに連動するETF)のコールを買うことがポートフォリオのヘッジとなり得る。過去のリスク回避局面で見られたドル高と同様の動きが想定される。