GBP/USDは5日続伸を終え、週明け月曜のアジア時間に1.3390付近で安寄りした。米国とイランの和平協議が決裂し、投資家のリスク選好(高リスク資産を買う姿勢)が後退したことから、通貨ペアは下落した。
安全資産(市場不安時に買われやすい資産)への需要が高まり、米ドルは主要通貨に対して支えられた。JDバンス米副大統領は、イスラマバードでの協議が21時間に及んだものの合意なく終了したと述べた。
英ポンド/米ドルの見通し
リスク回避の再燃を踏まえると、今後数週間はGBP/USDに下押し圧力が続く可能性が高い。米・イラン協議の決裂は「安全資産へ資金が移る動き(リスク回避の資金移動)」を強める要因となり、結果として米ドル高につながりやすい。投資家は、英ポンドの下落に備えるため、ポンドのプット・オプション(一定価格で売る権利)を買い、1.3300という心理的節目(意識されやすい区切りの水準)を下回る下落に備える選択肢がある。
市場では不確実性が高まっている。ドイツ銀行の通貨ボラティリティ指数(CVIX、通貨の「値動きの大きさ」への市場の見方を示す指標)が、きょう早朝の取引で12%超上昇し、6カ月ぶり高水準の9.8となった。ここでいう「インプライド・ボラティリティ(予想変動率)」は、オプション価格に織り込まれた将来の値動き見通しを指す。これが上がるとオプションは割高になりやすく、ポジション構築は早いほどコスト面で有利になり得る。市場全体が急な為替変動を想定しているシグナルといえる。
2025年後半に緊張が高まった局面でも同様の動きが見られ、ドル指数(複数通貨に対する米ドルの総合的な強さ)を四半期で約3%押し上げた。当時は急で読みにくい変動が続き、ボラティリティ(価格の振れ幅)に備えた投資家が相対的に有利だった。過去データでは、英ポンドや豪ドルなどリスクに敏感な通貨の下落に備えるオプション戦略の成績が良好だった。
最大の懸念はホルムズ海峡の封鎖リスクだ。同海峡は世界の1日当たり石油供給のおよそ5分の1が通過する要衝で、ここが滞ればエネルギー価格の急騰(供給ショック)を招き、結果として安全資産としての米ドルを一段と押し上げる可能性がある。このため、原油先物(将来の一定時点に特定価格で原油を売買する契約)のコール・オプション(一定価格で買う権利)も検討対象となる。北海ブレント原油は情勢悪化なら1バレル=110ドルを目指す展開もあり得る。