USD/CHFは週初に反発し、金曜日に付けた約3週間ぶり安値の0.7855近辺から持ち直した。5日続落に歯止めがかかり、ドル高(米ドルが他通貨に対して上昇する動き)を背景に0.7925近辺で推移。上昇率は0.50%。
米国とイランの協議は週末に決裂し、投資家のリスク選好(株など値動きの大きい資産を買いやすくなる心理)は弱まった。約21時間の協議でも進展はなく、ドナルド・トランプ氏は米海軍がホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送ルート)への出入りを封鎖すると述べた。
市場の反応と中銀への波及
この流れで原油価格が上昇し、インフレ(物価上昇)懸念が強まった。結果として、米連邦準備制度理事会(FRB)など主要中央銀行がタカ派(利上げや金融引き締めに前向き)寄りの姿勢を取る可能性が意識された。
金曜日に発表された米インフレ指標が強く、年内の利下げ観測が後退。利上げの可能性にも目が向いた。米国債利回り(国債の利回り。一般に上昇はドル高要因)も上昇し、ドルを下支えした。
米ウォール・ストリート・ジャーナルは、周辺国が数日内の米イラン協議再開を目指していると報じた。これがドルの一段高を抑えた一方、USD/CHFは100日単純移動平均線(過去100日終値の平均。価格の方向感を見る指標)を上回り、上向き基調を維持した。
USD/CHFオプション取引への示唆
ただ、2026年4月時点では、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの上乗せ(リスクプレミアム)は概ね低下している。直近データでは米インフレは鈍化しており、3月の消費者物価指数(CPI、消費者の購入品目の価格変化を示す指標)は2.8%だった。FRBがタカ派に傾く根拠は弱い。これは昨年のインフレ懸念で米国債利回りとドルが上昇した状況と対照的だ。
さらに、中央銀行の政策の違い(政策ダイバージェンス)が鮮明になり、スイスフランに有利な構図が出ている。FRBが様子見(政策金利を据え置く判断)に向かう一方、スイス国立銀行(SNB)は先月、国内の物価上昇圧力を抑えるため政策金利を1.75%に引き上げ、市場の予想を上回った。金利差(2国間の金利水準の差)がフラン有利に拡大していることから、USD/CHFは下方向に動きやすい。
デリバティブ(株や為替などを元にした金融商品)取引では、2025年の緊張局面に比べ、ペアのインプライド・ボラティリティ(IV、オプション価格に織り込まれた将来の変動率)が大きく低下し、オプション戦略を組みやすい。こうした環境変化を踏まえると、下落に備えるUSD/CHFのプット・オプション(一定価格で売る権利)の買いは合理的な選択肢となる。中央銀行の方向性の違いを収益機会にする狙いだ。
具体的には、6月・7月満期(満了日)を選ぶことで、このテーマが進む時間を確保できる。100日移動平均線は、いまや上値を抑える抵抗線(レジスタンス)になりやすい。したがって、その水準の下側でプット・スプレッド(プットを買い、別の行使価格のプットを売ってコストを抑える戦略)により弱気(下目線)ポジションを構築すれば、今後数週間でリスクと見返りのバランスが良い形となり得る。