カナダは3月の雇用者数が1.4万人増となり、失業率は6.7%で横ばいだった。労働市場は前回までの結果より小幅に改善した。
正社員(期間の定めのない雇用)の賃金の伸びが強まり、総労働時間も増えた。これは賃金と雇用活動が底堅いことを示す。
カナダ銀行(中銀)政策への影響
足元では、基調インフレ(物価の一時的な変動要因を除いた指標)が鈍化し、他の賃金指標も弱かった。このため、3月の雇用統計が次回のカナダ銀行の政策判断や短期金利見通しを大きく変える可能性は高くない。
当面の金融政策の方向性を左右するのは、エネルギー価格と地政学リスクだ。エネルギーコストが上がると、広い範囲の物価上昇圧力(インフレ圧力)につながり、賃金上昇の加速を軽視しにくくなる。
市場のポジションとボラティリティ(価格変動)戦略
インフレが続く一方で、この1年で労働市場は弱含み、最新データでは失業率が6.2%までじりじり上がった。景気の減速と物価圧力の板挟みとなり、カナダ銀行にとって難しい局面だ。今後の会合では、市場予想と異なる決定(政策サプライズ)が出る可能性が高まる。
デリバティブ(株価・金利などを基にした金融派生商品)取引では、価格変動の拡大が有利になるオプション戦略が有効になり得る。例えば、ストラドル(同じ行使価格のコールとプットを同時に買い、上下どちらかに大きく動けば利益を狙う)や、ストラングル(行使価格の異なるコールとプットを買い、より大きな変動を必要とする代わりにコストを抑える)を、カナダ銀行の政策金利見通しに連動する商品で組む手がある。市場は利下げを織り込んでいるが、想定通り進まない場合に大きく動くリスクがあるためだ。
WTI原油(米国産原油の代表的な指標)が1バレル85ドルを上回って堅調なことは、利下げを難しくする。過去にも、エネルギーコストの高止まりが、景気が減速していても利下げを阻む要因になった。
そのため、金利スワップ(固定金利と変動金利の支払いを交換する取引)や先物(将来の価格で売買する契約)を使い、市場が想定するより「高金利が長く続く」方向に備える戦略が考えられる。短期ゾーン(フロントエンド)の金利は今年の複数回の利下げをなお織り込んでおり、その織り込みを打ち消す(利下げ期待の修正に賭ける)ポジションは妥当だ。根拠は、インフレの粘着性とエネルギーコストが、利下げ開始(金融緩和局面入り)を遅らせる可能性があるという見方だ。