コメルツ銀行のボルクマー・バウアー氏は、日銀が2026年に追加で2回の利上げを行うと予想する。これにより金融政策は「中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利水準)」の上昇に近づき、年後半には円が対ドル・対ユーロで緩やかに上昇(円高)するとみている。
同氏は、現在の政策金利が0.75%だと指摘する。さらに、この水準は中立金利の推計レンジの下限すら下回っていると付け加えた。
日本の政策金利は中立水準を下回る
同氏によれば、金融環境(資金調達のしやすさや金利水準など)は依然として景気を押し上げる方向で、政策金利はまだ中立水準に達していない。このため、追加で2回の利上げを見込むという。
また、USD/JPY(ドル円)とEUR/JPY(ユーロ円)は、現在の水準から2026年後半から2027年にかけて緩やかに低下(円高)すると予想した。背景として、米国と欧州で「利下げ期待」が市場で織り込まれ直される(過度な織り込みが後退する)ことで、年後半の円高要因になると説明している。
円の売買への示唆
政策金利が中立水準に届いていないことは、金融政策がなお景気を必要以上に刺激していることを意味する。金融環境は引き続き緩い状態が見込まれ、中央銀行による追加の政策変更を正当化しうる。したがって、日銀は年内に物価上昇圧力を抑えるため再び動く可能性がある。
一方、米国ではFRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を4.0%まで引き下げており、デリバティブ市場(先物・オプションなどの金融派生商品市場)では年末までに少なくとも2回の追加利下げが織り込まれている。欧州でもECB(欧州中央銀行)が景気減速を背景に緩和寄りの姿勢を示している。日本と欧米の金融政策の方向性の違い(政策の分岐)が、今後数カ月の中心テーマとなる。
デリバティブ取引では、年後半の円高を想定したポジションが選択肢になる。具体的には、円コール(円が上がるほど価値が増えるオプション)を買う、またはUSD/JPYのプット(ドル円が下がるほど利益になりやすいオプション)を買う手段がある。米欧の利下げ期待が調整されれば、こうしたポジションは追い風を受けやすい。
2025年を通じて進んだ超緩和からの転換は、今後さらに進む可能性がある。過去には、日米などの金利差が縮小し始める局面で、キャリートレード(低金利通貨で資金を調達し高金利通貨で運用する取引)の巻き戻しが起き、通貨が急騰することがあった。今回の環境にも、円高局面と似た特徴がみられる。
USD/JPYが足元で148.50近辺で推移している状況では、2026年後半にかけて140円台前半への動きを狙うオプション戦略が有力になり得る。日銀の利上げと海外中銀の利下げのタイミングに合わせ、満期が第4四半期となる商品設計を検討するとよい。こうすることで、政策の分岐が為替市場に反映されるまでの時間を確保できる。