ニュージーランドドル(NZD)は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)のブレマン総裁による金融引き締めに前向きな発言(タカ派:インフレ抑制を優先し、利上げに積極的な姿勢)や、原油関連のリスク低下を受けて上昇した。総裁は、物価の基調(コアインフレ:一時的な要因を除いた物価上昇率)が加速すれば、利上げで対応すると述べた。
市場はタカ派に傾き、年末までに利上げが約3回(織り込み:市場価格に反映されること)見込まれている。一方、この織り込みは、ニュージーランドの大きなマイナスの需給ギャップ(供給力に対して需要が弱い状態)と、直近数四半期の弱い成長と比べると強気すぎる。
市場はよりタカ派へ
NZDは、豪ドル(AUD)に比べて出遅れるとみられる。原油安はNZDの対米ドル上昇を後押しする可能性があるが、それでもNZDはAUDを下回る展開が想定される。
RBNZが利上げを開始するのは2026年10-12月期(4Q26)になる見通しだ。0.25%(25bp:ベーシスポイント。金利の0.01%に相当)を1回引き上げれば、政策金利は2026年末に2.75%となる。
利上げの織り込みが過大な理由
ただし、市場は短期間での利上げを過大に見込んでいる可能性がある。2026年3月の最新統計では、GDP成長率は0.1%とほぼ横ばいで、前年比インフレ率も2.8%へ鈍化した。景気が弱い局面では、大幅な利上げは起こりにくい。
金利市場(スワップ市場:将来の金利を交換する取引。政策金利見通しが反映されやすい)は年末までにほぼ3回の利上げを織り込んでいるが、マイナスの需給ギャップを踏まえると強気に見える。2025年も弱い成長が続き、金融政策の動きを抑える形となった。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、足元のNZD高は売り場になり得る。今後3〜6カ月で満期を迎えるNZD/USDのプットオプション(売る権利。下落に備える手段)を買い、調整に備える戦略が考えられる。市場のタカ派姿勢で、こうしたオプションの価格(プレミアム)が割安になっている可能性がある。
また、NZDは豪ドルに対して弱含むとみる。豪州は失業率が4.0%近辺で安定し、資源輸出への需要も底堅い。したがって、フォワード(先物に近い相対取引で、将来の為替レートをあらかじめ固定する契約)を使ったAUD/NZDの買い持ち(ロング)は、2通貨の差に着目した組み合わせ戦略として妥当だろう。
当社予想では、RBNZは2026年10-12月期まで利上げを見送り、利上げは0.25%を1回にとどまる見通しだ。その場合、政策金利は2.75%となる。これは、スワップ市場に織り込まれている見通しとは大きく異なる。