インドの外貨準備高は3月30日時点で6,971億2,000万ドルとなり、前回の報告期間(6,880億6,000万ドル)から増加した。
増加幅は90億6,000万ドル。数値はいずれも米ドル建て。
インドの外貨準備高が過去最高水準に近い6,971億2,000万ドルへ大きく積み上がったことで、中央銀行は為替の変動を抑える強力な手段を得た。インド準備銀行(RBI)は、この「バッファー(緩衝材=市場の急変時に売買で介入できる余力)」を使い、米ドル/インドルピー(USD/INR、ドルとルピーの交換比率)の過度な値動きを抑える可能性が高い。短期的には、ルピー相場は当局管理の下で安定しやすい。
外貨準備の積み上げは、海外からの資金流入が背景にある。直近データでは、外国ポートフォリオ投資家(FPI=海外の機関投資家などが株式・債券を売買する資金)が2026年1~3月期だけでインド市場に50億ドル超を投じた。RBIは流入するドルを積極的に吸収(ドルを買ってルピーを供給する取引)し、ルピー高が急速に進むのを防いでいる。ルピー高は輸出企業の採算を悪化させるためで、この対応はルピーの上値を抑えやすい。
デリバティブ(金融派生商品=原資産の価格に連動する取引)市場では、USD/INRオプション(将来、一定価格で売買できる権利)のインプライド・ボラティリティ(市場が見込む将来の変動率)が低下しやすいシグナルとなる。当局の関与が強いほど急変が起こりにくく、相場が一定範囲で動く局面で利益を狙う戦略が有利になりやすい。アウト・オブ・ザ・マネー(OTM=権利行使しても得にならない水準)のコール(買う権利)とプット(売る権利)を売る戦略は選択肢になり得る。
2025年半ばに見られた急激な為替変動を踏まえると、RBIの現行戦略は再発防止を意識したものとみられる。3月の消費者物価指数(CPI=消費者向け物価の上昇率)インフレ率が4.9%と落ち着いた水準にあるため、インフレ抑制のためにルピー高を容認する圧力は強くない。次回の金融政策判断を前に、為替は一定のレンジ(範囲)内で推移しやすい。