不安定なイラン停戦で投資家がドル売り持ち高を縮小、円相場は1ドル=160円近辺で横ばい

    by VT Markets
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    Apr 10, 2026

    米ドルは金曜日、対円で160.00近辺を維持した。背景には、イラン停戦をめぐる不透明感から、米ドルを売るポジション(ドルの下落を見込む取引)の積み増しが抑えられ、むしろ解消が進んだことがある。USD/JPYは水曜日に157.88まで下げた後、159.20前後まで戻した。

    市場のリスク選好(投資家が高リスク資産を買いやすい状態)は、イランが土曜日にパキスタンのイスラマバードで始まる和平協議への参加に疑義を示したことで悪化した。米国は、イランがホルムズ海峡の船舶航行をどう管理しているかに懸念を示しており(ホルムズ海峡=中東の原油輸送の要所)、改善は伝わっていない。

    円安の背景はエネルギー高とインフレ

    円は3月に約2%下落した。イラン戦争に関連する原油高が「スタグフレーション(景気が弱いのに物価が上がる状態)」への懸念を強めたためで、とりわけ原油輸入に大きく依存する日本には重荷となる。物価上昇リスクが高まる中、高市早苗首相の景気刺激策(財政支出などで景気を下支えする政策)への注目が増え、日銀には利上げ(政策金利の引き上げ)圧力がかかりやすい。

    日本の企業物価もインフレ懸念を後押しした。3月の国内企業物価指数(PPI=企業間で取引されるモノの価格の動き)は前年比2.6%上昇(2月の2.1%から加速)、前月比は0.8%上昇(2月の0.1%から上振れ)となった。

    金曜日後半は、3月の米消費者物価指数(CPI=消費者が買うモノやサービスの価格の動き)に注目が移る。市場予想では前年比3.3%と、約2年ぶりの高い伸びが見込まれており、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通し(フォワードガイダンス=今後の金融政策の方向性に関する発信)に影響し得る。

    ボラティリティ(値動き)と介入リスク

    昨年の原油ショックで、日本はスタグフレーション圧力に直面した。北海ブレント原油が一時1バレル98ドルを上回った影響は軽視できない。円売りは分かりやすい取引に見えるが、注意が必要だ。2025年5月には財務省が大規模な為替介入(政府・日銀が市場で通貨を売買し、相場を動かすこと)を実施し、数時間で5円規模の急変動が起き、レバレッジ取引(借入などで資金効率を高める取引)のポジションが損失を被った。

    米ドル高圧力と、日本の介入リスクという相反する要因が重なり、値動きの大きい環境になりやすい。方向だけに賭ける取引はリスクが高く、上下どちらに動いても大きな変動から利益を狙う戦略の方が無難な場合がある。USD/JPYの1カ月先オプションのインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の予想変動率)は12.5%近辺で推移し、2024年後半の平均8%を大きく上回っている。

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