オーストリアの鉱工業生産(工場などで作られたモノの生産量の指標)は2月、前年同月比で1.1%増となった。前月の0.3%増から伸びが拡大した。
生産の伸びが前回より速まったことを意味する。直前の月は前年同月比の伸び率が低かった。
オーストリアの鉱工業生産は、より広い回復を示唆
2月のオーストリアの良好な鉱工業データは、ユーロ圏の3月製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の受注や生産などをもとに景況感を点数化した指標)とも整合的だ。同PMIは50.3となり、1年以上ぶりに節目の50を上回った(50超は拡大、50未満は縮小を示す)。これらは、2025年の大半で続いた工業の減速が転機を迎えつつある可能性を示す。回復は特定分野だけでなく、対象が広がっているように見える。
景気の底堅さに加え、ユーロ圏の3月インフレ率(物価上昇率)が2.6%で維持されたことは、欧州中央銀行(ECB)が次の四半期に利下げ(政策金利を引き下げること)へ踏み切る可能性を低下させる。したがって、金利先物(将来の金利水準を織り込む先物取引)が「夏まで金利が現状維持となる」可能性を十分に織り込んでいない点を検討したい。これは、年初時点の市場の見方を揺さぶる。
為替市場では、この底堅さがユーロを下支えする可能性がある。ECBの見通しが「ハト派(利下げに前向き)の弱まり」となれば、近い期限のEUR/USDコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を検討し、早期利下げ観測の後退に伴う上昇に備える選択肢が出る。欧州と米国の経済指標の「サプライズ度合い」の差(市場予想からの上振れ・下振れの差)は縮小しており、今回のデータはその流れを補強する。
製造業との結び付きが強いことから、欧州株の株価指数オプション(株価指数を対象にしたオプション取引)にも上振れ余地があるとみる。今後数カ月に向けて、オーストリア(ATX)とドイツ(DAX)の株価指数のコールオプションを検討したい。両指数は、鉱工業や輸出関連の比重が高く、生産回復の恩恵を受けやすい企業が多い。これは、2025年後半の慎重な姿勢からの大きな転換だ。