ブレント原油は2026年1〜3月期に1バレル=100〜120ドルの範囲で取引されたが、米ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指数)は、2025年半ば以降の96〜101のレンジ内にとどまった。DXYの動きは、2022年を含む過去のエネルギーショック時より小幅だった。
報告書は、ドルに「安全資産買い(リスク回避局面で資金が集まりやすい動き)」が起きにくかった理由として、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を急いで引き締める状況にない点を挙げた。加えて、インフレ率に対して相対的に引き締め的な政策運営や、いわゆる「トランプ・トレード(関税強化や減税などの政策期待を織り込んだ取引)」の勢いが弱いことも要因としている。
FRB政策でドルはレンジ内
また、2022年と異なり、FRBは「需要の強さが原因のインフレ(需要主導のインフレ)」に後追いで対応する局面ではないという。その結果、DXYは100を明確に上回れず、FRBが「様子見(データ次第で判断する姿勢)」を続ける中でレンジ相場が続いている。
DXYは2025年半ばに形成された96〜101のレンジを維持し、目立った変動が出ていない。1〜3月期にブレント原油が100ドル超となる大きな原油高があっても、ドルが大きく買われる動きは限定的だった。こうした状況は、値動きの小ささ(低ボラティリティ)から利益を狙う戦略が機能しやすい可能性を示す。例えば、「アウト・オブ・ザ・マネー(現時点で権利行使しても利益にならない水準)のオプション」を主要通貨ペアで売る手法が挙げられる。オプションは、一定期間内にあらかじめ決めた価格で売買できる権利で、売り手は受け取るプレミアム(オプション料)と引き換えに損失リスクを負う。
ドルの反応が鈍いのは、数年前とは環境が変わったことを示す。通貨市場のボラティリティ指数(価格変動の大きさを示す指標)は直近で9カ月ぶりの低水準となり、主要指標が今年初めて7.0を下回ったという。さらに、フェデラルファンド先物(政策金利の先行きを市場が織り込む先物)を見ると、次回FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率は15%未満とされ、低変動の見通しを裏づけている。
静かなDXYの取引上の示唆
2022年のように、供給要因による物価上昇(供給制約によるインフレ)に対してFRBが急いで大幅な引き締めに動く状況ではない。2022年は急速な利上げがドル高の主因だったが、現在はその材料が乏しい。FRBの様子見姿勢が、DXYの上値を100近辺で抑える主因になっている。
デリバティブ(先物やオプションなどの金融派生商品)取引の観点では、DXYレンジの上限・下限付近で「逆張り(レンジ上限では売り、下限では買い)」を続ける戦略が成り立つ余地がある。具体的には、101近辺の抵抗線(上値が重くなりやすい水準)で先物を売り、96近辺の支持線(下げ止まりやすい水準)で買う取引が選択肢となる。また、大きな値動きを狙うなら、米ドルを介さない通貨ペア(クロス通貨)で、他国中銀の方針がより明確な組み合わせに注目する手もある。