INGは、ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)が0.870まで下落した後、これ以上の下落余地は限定的だと述べた。この動きは、株価が急反発(短期間で大きく上昇)した局面で、英ポンドが影響を受けやすい性質(感応度が高いこと)と関連しているという。INGは、ユーロ圏の金利見通し(市場が織り込む政策金利の将来像)は「粘着的」(変化しにくい)にとどまる一方、英国の金利見通しはよりハト派(利下げに前向き)方向に見直される可能性があるとした。
INGは、エネルギー価格が下落基調を維持し、市場が英中銀(イングランド銀行、BoE)の見通しを修正すれば、こうした展開が起こり得ると説明した。またBoEは戦争開始前から利下げの準備ができていたとし、英国では「セカンドラウンド効果」(物価上昇が賃金やサービス価格に波及してインフレが長引く現象)が2022年より小さいと指摘した。
BoE ECB Policy Divergence
INGは、BoEのアンドリュー・ベイリー総裁、キャサリン・マン氏、ミーガン・グリーン氏の今後の発言が、市場の織り込み(金融市場の価格に反映されている予想)に影響し得ると述べた。市場は現在30bp(ベーシスポイント。1bp=0.01%)を織り込んでいるが、年内の利上げ回数の織り込みが「1回未満」まで下がる可能性があるという。
INGは、これが今四半期にEUR/GBPを0.880近辺へ押し戻す材料になり得るとした。
EUR GBP Strategy Outlook
金融政策の乖離(両中央銀行の政策の方向性の違い)が依然として主因だとし、先物市場(将来の取引価格で売買する市場)では、2026年8月までにBoEが利下げする確率を75%と織り込む一方、ECB(欧州中央銀行)は据え置きを続ける想定になっているという。デリバティブ(金融派生商品。価格が為替や金利などに連動する商品)市場では、EUR/GBPの上昇を見込み、権利行使価格(ストライク)0.8850、満期が第3四半期のコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買うことで、ユーロ高/ポンド安に備えるポジションを取れるとした。この手法は、リスクを限定(支払うオプション料が最大損失)しつつ、BoEが利下げに近づく局面の上振れを狙えるという。
今後数週間は、英国の成長指標に対する英ポンドの反応が強い状態が続く可能性があり、景気減速の兆しが出ればBoE利下げ観測が一段と強まりやすい。こうした構図は2014年の政策乖離に似ており、その際は複数月にわたり英ポンドが相対的に弱含んだ。したがって、EUR/GBPが緩やかに上昇する局面で利益を狙う戦略が現状では有効だといえる。