米国のコア個人消費支出(PCE)価格指数は2月に前月比0.4%上昇した。結果は市場予想と一致した。
この発表は、消費関連の主要品目における月次の物価上昇が底堅く続いていることを示す。今回のデータは、米国のPCE価格指数(家計が購入するモノやサービスの価格動向を測る指標)系列の一部だ。
インフレは粘着的
2月のコアPCEは前月比0.4%上昇と予想通りとなり、インフレ圧力がなお続いていることを裏付けた。これにより、米連邦準備制度理事会(FRB)が「高金利を長く維持(higher for longer)」する方針を続ける可能性が高いとの見方が強まる。「higher for longer」とは、利下げを急がず政策金利を高い水準で当面維持する姿勢を指す。当社では、2026年の晩夏から初秋より前に大幅な利下げが行われる可能性を、ほぼ織り込まなくなっている。
この見通しは、先週公表された3月の雇用統計でも補強された。雇用者数が市場の想定を上回る28万人増となり、景気の強さを示したためだ。結果として、SOFR先物市場では6月利下げ観測がほぼ消えた。SOFR先物は、担保付き翌日物調達金利(SOFR)を基に将来の短期金利水準を織り込む金融商品で、米金融政策の見通しを反映しやすい。オプション取引(将来の特定条件で売買できる権利を扱う取引)の動向を見ると、7月まで金利が現行水準のまま推移した場合に利益が出るポジションが増えている。
株式デリバティブ(株価指数などを対象にした先物・オプションなど)では、この環境は金利に敏感なセクター、例えばテクノロジーや不動産に下押し圧力となりやすい。市場の予想変動率を示すVIX(S&P500のオプション価格から算出される「恐怖指数」)は、10台前半から18前後へとじりじり上昇している。こうした局面では、テック指数でコール・スプレッド売り(上昇幅が限定的と見て、複数のコールを組み合わせて受け取るプレミアムを狙う戦略)や、プロテクティブ・プット(保有株・指数の下落に備えてプットを買う保険的な戦略)が相対的に選好されやすい。
これは、2025年の一部で見られた状況とは大きく異なる。当時はディスインフレ(物価上昇率の鈍化)基調から早期利下げが意識されやすかった。一方、足元の環境は米ドルの追い風となっている。特に、すでに金融緩和(利下げなど)を開始した中央銀行を持つ通貨に対して、ドル・コールオプション(ドル高に備えるオプション)への需要が続くと見込む。
注目は3月CPI
市場の次の焦点は3月のCPI(消費者物価指数)だ。CPIは家計が購入する商品・サービスの価格変動を示し、インフレ指標として最も注目されやすい。この数値が予想を上回れば、債券と株式で追加の売りが出やすく、利下げ観測はさらに後ずれする可能性がある。発表前後は価格変動が大きくなりやすく、変動率上昇を前提にしたポジション構築が求められる。