メキシコの3月の12カ月インフレ率は4.59%となった。市場予想の4.61%を下回った。
この結果は、物価の前年同月比の上昇率が予測より小さかったことを示す。今回の更新では、追加の詳細は示されなかった。
3月のインフレ率が4.59%と、想定していた4.61%をわずかに下回ったことで、インフレ率が鈍化していく流れ(ディスインフレ=物価上昇率が低下する状態)が改めて確認された。これにより、バンシコ(Banxico=メキシコ中央銀行)は金融政策(政策金利などで景気と物価を調整する運営)の判断で動きやすくなる。当社は、次回5月会合で追加利下げが行われる可能性が高まったとみる。
振り返ると、これは2025年を通じて見られたパターンに沿う。中央銀行は緩和サイクル(利下げを段階的に進める局面)を、1回あたり0.25%(25bp=ベーシスポイント。1bpは0.01%)の小幅利下げで慎重に開始した。当時もインフレはパンデミック後のピークから低下傾向にあったが、大幅な利下げには慎重だった。今回のデータは、よりハト派(景気重視で利下げに前向き)の委員がサイクル継続を後押しする材料になり得る。
デリバティブ(株価指数や金利、為替などから派生した金融商品)取引の観点では、メキシコ・ペソが対米ドルで弱含む可能性を示唆する。「キャリートレード」(高金利通貨を買い、低金利通貨で資金調達して金利差を狙う取引)は、メキシコ金利の高さを背景に、2025年の一時期はUSD/MXN(米ドル/メキシコ・ペソ)が17.00を下回る局面もあった。しかし金利差(両国の政策金利の差)が縮小すれば魅力は薄れる。当社は、為替が上昇(ドル高・ペソ安)する動きに備え、USD/MXNのコールオプション(あらかじめ決めた価格で将来買う権利)を買う戦略に注目している。
TIIE金利スワップ(TIIE=メキシコの代表的な短期金利指標。金利スワップ=固定金利と変動金利を交換し、将来の金利変動に備える取引)の市場では、2026年残り期間で累計約0.75%(75bp)の利下げがすでに織り込まれている。今回のインフレ指標により、より速い緩和サイクルへの見方が強まり、織り込みが累計1.00%(100bp)程度に近づく可能性がある。短期金利の低下を見込む場合、TIIE先物(将来の金利水準を売買する取引)でポジションを取ることも選択肢となる。