スウェーデンの3月消費者物価指数(CPI、速報値)は予想を下回った。総合インフレ率(全体の物価の伸び)は前年比1.6%と、市場予想の2.2%を下回った。コアインフレ率(エネルギーなど変動の大きい品目を除いた物価の伸び)は1.1%と、予想の1.5%を下回った。
弱い結果の背景には、前年の水準が高かった反動(ベース効果)と、昨年のクローナ高(自国通貨高による輸入物価の下押し)がある。リクスバンク(スウェーデン中央銀行)の見通しでも、総合・コアともにインフレ率が目標(通常2%)を大きく下回る状況が示されている。
物価見通しと主な要因
来月予定される付加価値税(VAT、消費税に近い税)の引き下げは、物価をさらに押し下げる可能性がある。一方で、原油価格の上昇は物価を押し上げるリスク要因だ。
リクスバンクは3月会合で、停戦後も紛争の状況を注視すると改めて述べた。現時点のデータからは、金融政策(政策金利の変更など)の方向転換を示す材料は乏しい。
スウェーデン・クローナは主に、世界の投資家心理(グローバルなリスク選好・リスク回避)に左右されるとされる。足元では、金利見通しの変化は相対的に影響が小さい。
金利と変動性への示唆
このため、リクスバンクは2025年のように長く様子見を続ける余地が小さい。政策金利は2会合連続で3.75%に据え置かれているが、市場は変化を織り込みつつある。翌日物金利スワップ(OIS、将来の短期金利見通しを反映しやすい金利商品)では、6月会合で利上げとなる確率が60%超と見られている。
クローナにとっては、オプション取引(一定の価格で売買する権利を取引する商品)の参加者にとって難しい環境だ。利上げ観測は通貨を支えやすい一方、クローナは世界的な投資家心理の変化に敏感である。先週はドイツの製造業指標が弱かったことを受け、クローナがユーロに対して下落し、欧州全体の材料に左右されやすい点が意識された。
国内の金利要因と外部のリスク要因が綱引きするため、ユーロ/クローナ(EUR/SEK)の変動が大きくなる局面を想定した戦略が選択肢となる。例えば、ストラドル(同じ行使価格で買いと売りのオプションを組み合わせる)やストラングル(異なる行使価格で組み合わせる)など、変動の拡大から利益を狙う戦略は、次回リクスバンク会合を前に検討余地がある。これは、想定以上に強い利上げ姿勢で通貨が急変しても、リスク回避で売られても、大きく動けば損益が出やすい。