木曜の欧州時間、ダウ平均先物は0.36%安の約4万7,950。S&P500先物とナスダック100先物もそれぞれ0.38%安、0.37%安となり、約6,800、約2万5,000まで下落した。
イラン議会議長モハンマド・バゲル・ガリバフ氏が「米国がイランの10項目提案のうち3条項に違反した」と述べ、追加協議を「非合理的」と表現したとの報道を受け、投資家心理が悪化した。米国のJD・バンス副大統領は、今週末にイスラマバードでイランとの直接協議を行う米代表団を率いる中で、(原油輸送の要衝である)海峡は再開に向かう可能性があるとの見方を示した。
地政学リスクが市場を圧迫
中東の衝突は2カ月目に入り、エネルギー価格を押し上げ、インフレ(物価上昇)のリスクを高めている。これにより、世界の中央銀行が金融引き締め(政策金利を高めに保つこと)を長期間続けるとの見方が強まっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の3月会合議事要旨では、当局が「様子見」の姿勢を維持している一方、リスクがより均衡してきたとの認識も示された。市場は金曜発表予定の米消費者物価指数(CPI、消費者が購入する物やサービスの価格変化を示す指標)に注目している。
イランメディアが、レバノンでの新たなイスラエルの攻撃を受け、ホルムズ海峡のタンカー航行が一時停止したと報じたことで供給不安が強まり、原油価格は小幅上昇した。前日(水曜)は、2週間の米国・イラン停戦合意を受けて、ダウ平均が2.85%高、S&P500が2.51%高、ナスダック100が2.8%高となっていた。
楽観から悲観への急転は、地政学ニュースへの市場の反応が極めて敏感であることを示す。今後数週間は値動きが荒くなりやすく、VIX先物やS&P500のオプションを使った「ボラティリティ上昇」狙いのポジション(相場変動が大きくなることに賭ける取引)に妙味がある。VIX指数(株式市場の予想変動率を示す指標)は、衝突報道の初動で10台半ばから25超へ急上昇する局面がみられた。
変動に備えたポジション
昨日の停戦報道に対する市場の強い上昇反応を踏まえると、足元の下落は、さらなる悪材料に弱い状態を示唆する。イスラマバード協議が決裂するリスクに備え、ダウやナスダック100など主要指数のプットオプション(期日までに決められた価格で売る権利)を、ヘッジ(損失を抑える保険的取引)または下落狙いとして検討したい。世界の石油関連液体(原油やコンデンセートなど)の2割超が通過するホルムズ海峡が長期閉鎖に陥れば、急落リスクは大きい。
エネルギー市場では供給不安が再燃しており、ブレント原油(国際指標の原油価格)が1バレル=100ドル近辺へ戻しつつある点は投資機会になり得る。原油先物のコールオプション(期日までに決められた価格で買う権利)や主要エネルギーETF(上場投資信託)に注目したい。交渉が崩れれば、2025年後半にみられたような急騰が起きる可能性がある。この取引は、衝突による株式市場全体のリスクに対するヘッジにもなる。
エネルギーコスト上昇はインフレを押し上げやすく、金利を「高水準で長期化(higher for longer)」させる見方を補強する。直近の2月CPIではインフレ率が3.5%と高止まりしており、金曜の3月CPIが強い内容になれば、FRBの利下げ観測はさらに後ずれしやすい。これに備えるには、金利先物やオプションなどのデリバティブ(元となる資産価格に連動する金融商品)を使い、夏の利下げに否定的な方向へポジションを取る手段がある。市場では7月利下げ確率の織り込みが今月、70%から50%未満へ低下している。