BNYのストラテジスト、ジェフ・ユー氏は、ユーロ(EUR)の持ち高(投資家の保有状況)が、紛争前の「ドルをヘッジ(損失回避)する取引」から転じて、現在は総じて「保有が少ない(ネットでアンダーウェイト)」状態になったと述べた。さらに、今後2週間に停戦が維持されれば、外国為替(FX)取引の資金フローは、紛争開始後の「極端」な動きの反動で、平均的な水準へ戻りやすいと指摘した。
同氏は、国際収支(経常収支や資本移動などの国と海外の資金の出入り)に悪化圧力がかかる新興国通貨からの資金流出や、景気停滞と物価上昇が同時に起きる「スタグフレーション」に結びつきやすい先進国通貨からの資金流出を説明した。一方で、エネルギー・資源価格の上昇の恩恵を受け、金融引き締め(利上げなどの物価抑制策)を実行しやすい資源関連通貨は支えられやすいと対比した。
ユー氏は、エネルギーコストがスタグフレーション懸念を強めているユーロ圏に対し、ノルウェーでは交易条件(輸出価格と輸入価格の比率)の大幅な改善という強い追い風が見込まれると述べた。さらに、ノルウェー中央銀行(Norges Bank)が利上げを事実上あらかじめ示唆しており、欧州の先進国の中央銀行でそうした姿勢が明確なのは同中銀だけだと説明した。
また同氏は、従来の「ドルをヘッジする」テーマの巻き戻し(それまでのポジション解消)は完了し、ユーロは全体として保有不足になっていると述べた。金利見通しが通常ならヘッジ目的のユーロ先物買いを促しやすい方向に動いているにもかかわらず、ヘッジのための将来受け渡し取引(フォワード)によるユーロ買いが減ったことが理由だとした。
ノルウェーについては、エネルギー価格が天井を打てばノルウェークローネ(NOK)の上昇は一服し得ると述べた。加えて、石油収入が政府の資金需要を賄える水準になれば、Norges Bankは外貨準備(緊急時などに備える外貨資産)を積み増すため、外貨買い・クローネ売りの為替購入を再開する可能性があると指摘した。その一方で、欧州通貨の中ではNOKの保有が最も厚い状態が続いているという。