USD/CADは3日続落の後に反発し、木曜のアジア時間は1.3860近辺で取引された。背景には、米国とイランの停戦を巡る不透明感から、米ドルに「安全資産(リスク回避局面で買われやすい通貨)」としての買いが再び入ったことがある。
米連邦準備制度理事会(FRB)の3月会合議事要旨(政策会合の詳細な記録、金融政策の手がかり)が水曜に公表され、当局は様子見姿勢を示した。政策担当者の多くが金利据え置きを支持し、金利水準は「中立金利(景気を過熱も冷え込みもさせない水準)」に近いとの見方も多かった。
原油価格とカナダドルの支え
ただし、原油高がカナダドルを下支えする場合、USD/CADの上昇は限られる可能性がある。米国産原油の代表指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は91.50ドル近辺で推移。イランメディアが、イスラエルによるレバノンへの新たな攻撃を受け、ホルムズ海峡でタンカー航行が止まったと報じたことが材料視された。
イラン当局者は、最近の出来事が停戦条件に反すると主張。国会議長のモハンマド・バゲル・ガリバフ氏は、米国がイランの10項目提案のうち3項目に違反したとし、恒久合意に向けた協議を続けるのは「不合理」だと述べた。
米国のJD・バンス副大統領は、海峡が再開に向かう可能性があるとの考えを示した。同氏は今週末、イランとの直接協議のため、米代表団を率いてイスラマバードに向かう。
2025年のこの時期を振り返ると、USD/CADは2つの強い力に挟まれていた。地政学リスク(外交・軍事など政治要因による市場不安)で米ドルが買われる一方、その緊張が原油価格を押し上げ、資源国通貨(資源価格に影響を受けやすい通貨)のカナダドルを支えた。
USD/CADの変動戦略
この構図は大きな変動を生んだ。WTIは2025年半ば、ホルムズ海峡リスクを受けて一時1バレル95ドル超まで急騰し、結果としてUSD/CADの上値を抑え、1.3700近辺へ押し戻した。資源高が、安全資産の買いだけでは説明できない相場を作ることがある。
数週間先は、方向を決め打ちするより、変動を取りに行く発想が有効だ。昨年も地政学の報道で上下に急変しやすかった。オプション(将来の売買をあらかじめ決めた条件で行える権利)を使い、ストラドル(同じ行使価格でコール=買う権利とプット=売る権利を同時に買う)やストラングル(異なる行使価格でコールとプットを同時に買う)をUSD/CADで組むと、上げ下げどちらでも大きく動けば利益機会を狙える。
現在、USD/CADのアット・ザ・マネー(現在値に近い行使価格)オプションのインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動率)は6.8%近辺と、1年で低水準にある。2025年の経験からみて割安に見える。年後半にかけてカナダ銀行とFRBの金利方針の違いが意識されれば、相場が大きく動くきっかけが生まれやすい。市場が変動を織り込む前に、オプションを検討する余地がある。
また、カナダドルの主要材料である原油市場にも注意が必要だ。原油価格とカナダドルの強い連動(相関係数=同じ方向に動きやすさを示す指標で、昨年の緊張時には0.75超)は、引き続き重要な関係だ。中東で不安定さが再燃するなら、原油先物(将来の原油価格を売買する契約)のコールオプション(買う権利)を買うことは、カナダドル高を狙う代替手段になり得る。