英ポンド/米ドル(GBP/USD)は水曜日、米国とイランがパキスタンの仲介で2週間の停戦に合意したことを受けて1%超上昇し、1.3485近辺まで上伸した。その後、合意の継続性に疑問が広がる中で1.3400付近へ反落した。JD・バンス氏はこれを「不安定な停戦」と表現し、さらにイスラエルは戦闘開始以降で最大規模となるレバノン攻撃を実施した。なお、合意条件からヒズボラ戦線は除外された。
水曜日に発表された英国指標は弱かった。ハリファックス住宅価格は3月に前月比0.5%下落(市場予想は0.1%上昇)。S&Pグローバル建設業PMI(購買担当者景気指数=企業への調査で景況感を示す指標)は45.6(前回44.5)。RICS(英国王立公認不動産鑑定士協会)の住宅価格バランスは-23%へ低下し、2024年初以来の低水準となった。
Fed Signals And Market Reaction
FRB(米連邦準備制度理事会)の3月議事要旨では、政策金利(フェデラル・ファンド金利)の誘導目標を3.50%〜3.75%に据え置く決定が11対1で示された。当局者は、原油価格や関税に関連した短期のインフレ期待(将来の物価上昇に対する市場や家計の見通し)の上振れに言及した。中央値の見通しは、今年1回(0.25%=25ベーシスポイント)利下げを示す一方、インフレが目標を上回り続ける場合は利上げが必要になり得るとの意見もあった。なお、ベーシスポイント(bp)は金利の単位で、1bp=0.01%。
木曜日は、英中銀(BoE)の第1四半期クレジット・コンディション調査(銀行の融資姿勢や信用環境を示す調査)に加え、米国では2月のコアPCE(個人消費支出物価指数のうち食品・エネルギーを除いた指標)、第4四半期GDP、週間の新規失業保険申請件数が予定されている。続いて金曜日は3月CPI(消費者物価指数)と、ミシガン大学の4月速報(消費者マインドとインフレ期待)が控える。15分足では、GBP/USDは1.3399で、200期間EMA(指数平滑移動平均=直近データを重視する移動平均)1.3354を上回り、ストキャスティクスRSI(RSIを用いた過熱感の指標)は81近辺にあった。
昨年の同時期、2025年初めにも、脆弱な停戦合意を材料にGBP/USDが一時的に急伸したことがあった。ただ、その上昇は長続きせず、合意への疑念と英国の景気の弱さがすぐに重しとなった。地政学のヘッドラインは、実態以上の相場の勢いを生むことがある点に注意が必要だ。
2025年3月の英国住宅指標の弱さ(価格下落と調査の悪化)は、その後の減速の早期サインとなり、英中銀が同年後半に2回利下げする背景となった。足元では改善は限定的で、2026年3月のネーションワイド住宅価格指数は前年比0.2%上昇にとどまっている。英国の成長は低迷し、2025年10-12月期GDPは0.1%増で確定。市場が今秋までに少なくとも1回の追加利下げを織り込む根拠となっている。
Strategy Implications For Gbp Usd
一方で、2025年3月議事要旨に見られたFRBのタカ派(インフレ抑制を重視し、利下げに慎重な姿勢)は結果的に的中し、利下げは年後半の1回にとどまった。米インフレは粘着的で、直近の2026年2月コアPCEは2.9%と、FRB目標をなお上回る。ハト派(景気配慮で利下げに前向き)となりやすい英中銀と、慎重姿勢のFRBという政策の方向性の違い(政策スタンスの乖離)が続き、ファンダメンタルズ(景気・物価・金利などの基礎条件)面でポンドの重しになっている。
この環境では、GBP/USDの上昇は売り場と捉えるのが妥当だ。今後4〜6週間で満期を迎えるプット・オプション(一定価格で売る権利)を買う方法は、損失を限定しつつ下落を狙える。昨年のような報道主導の急反転に過度に巻き込まれにくい。
2025年に1.3485まで急伸した例が示す通り、ボラティリティ(値動きの大きさ)は読みづらい。したがって、アウト・オブ・ザ・マネー(現状の価格から離れた権利行使価格)のコール・スプレッドを売る(上昇余地が限られる前提でプレミアム収入を狙う取引)戦略も有効になり得る。この見方は、2026年序盤にかけて重要な節目となってきた1.2700のレジスタンス(上値抵抗線)近辺へ戻す局面で特に当てはまりやすい。