RICS(英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会)が公表した英国住宅調査では、3月の住宅価格バランス(価格が「上昇した」と回答した割合から「下落した」と回答した割合を差し引いた指標)がマイナス23%となった。市場予想のマイナス18%を下回った。
マイナスのバランスは、価格上昇よりも価格下落を報告した回答者が多かったことを示す。3月の住宅価格の勢い(価格上昇の強さ)が想定より弱いことを示唆している。
英国住宅データが減速の加速を示唆
3月の住宅価格データは予想を大きく下回り、予想のマイナス18に対してマイナス23まで悪化した。これは英国景気の減速が想定以上に速いことを示す材料となる。市場が織り込んできたより早い時期に、イングランド銀行(英中銀)が利下げ(政策金利の引き下げ)に転じる圧力が強まる可能性がある。
今後数週間は、英ポンドが米ドルやユーロに対して下落(通貨安)しやすい展開が想定される。英国国家統計局(ONS)の最新データではインフレ率が2.9%と下がりにくい状況が続くが、今回の住宅指標がより重視され、利下げ観測が市場の主な材料になり得る。そのため、6月満期のGBP/USDのプットオプション(一定価格で売る権利。下落局面で利益を狙う手段)の購入は、下落に備える方法になり得る。
住宅市場の弱さは英国株にも影響し、特に内需型企業が多いFTSE250に逆風となる。建設や銀行セクターは相対的に弱くなりやすい。主要住宅建設会社(ハウスビルダー)のオプションを見ると、インプライド・ボラティリティ(市場が見込む将来の価格変動の大きさ)が今朝すでに15%上昇しており、市場が新たなリスクを急いで織り込んでいる状況がうかがえる。
過去と比べると、今回の悪化は2025年第3四半期に見られた短期的な冷え込みより深刻に感じられる。当時は「ソフトランディング(景気後退を避けつつインフレを抑える)」期待で持ち直したが、今回のデータは2024〜2025年の利上げの影響がなお景気に波及していることを示す。これにより、広い市場のボラティリティ(価格変動)が今後1カ月程度、高止まりする可能性が高まる。